ルノーは1996年のパリ・サロンにおいて、前年にリリースした小型乗用車「メガーヌ」(メガーヌⅠ)をベースとする小型MPV「メガーヌ・セニック」を発表しました。プラットフォームやパワートレインなど基本コンポーネンツはメガーヌ譲りながら、背の高いモノフォルムボディの新鮮さやユーティリティの高さが好評を博し、欧州でベストセラーカーとなりました。
メガーヌ並みの空力特性を実現
ボディタイプはオールヒンジ式ドア採用の5ドアで、室内はベースモデルのメガーヌ同様2列シート5人乗り仕様でした。スタイリングはメガーヌとはプロポーションが大きく異なるものの、丸みを帯びたボディラインやフロントマスクの意匠などはメガーヌとの共通性が感じられるものでした。又、空力特性にも優れ、Cd値はメガーヌと同等の0.33を実現していました。
ボディサイズは全長4,168mm×全幅1,619mm×全高1,609mmで、メガーヌよりも一回り大きく、特に全高は200mm近く高められていました。ホイールベースは同一の2,580mmで、サスペンション形式はフロントはメガーヌ同様のマクファーソンストラット式を踏襲する一方、リアはトーションビーム式からトレーリングアーム式に変更されました。
駆動方式は当初はメガーヌ同様FFのみの設定で、エンジンはまず1.4L(最高出力75hp/最大トルク11.6kgm)、1.6L(最高出力90hp/最大トルク13.6kgm)、2L(最高出力115hp/最大トルク17.1kgm)の直4ガソリンSOHC NAと、1.9L直4SOHCディーゼルターボ(最高出力97hp/最大トルク20.4kgm)が用意されました。トランスミッションはメガーヌ同様、5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。
フェイスリフトと共にオフロード風「RX4」を追加
一方室内は、メガーヌと共通の楕円をモチーフとしたインパネが踏襲されました。その後、1999年のフェイスリフトでフロントマスクが一新されると共に、車名からメガーヌの冠名が取れ「セニック」となりました。同時に、シュタイア・プフ社の手によるフルタイム4WDシステムを採用し、ボディにオフロード車風の加飾が施される「RX4」が追加されました。
更に、このフェイスリフトを機にガソリン各エンジンがDOHC化され、アウトプットが1.4Lは最高出力94hp/最大トルク13kgmに、1.6Lは最高出力107hp/最大トルク15.1kgm、2Lは最高出力138hp/最大トルク20.4kgmにそれぞれ向上しました。そして2003年にフルモデルチェンジが実施され、2代目モデルに移行しました。
日本市場には、1999年5月にまずガソリン2L SOHCエンジン+4速AT搭載の「カレード」が導入されました。次いで翌2000年9月にフェイスリフト版に切り替えられると同時に、グレードが2L DOHCエンジン+4速AT搭載の「RXE」「RXT」の2タイプとなりました。続いて2001年6月には、2L DOHCエンジン+5速MTを搭載するRX4の導入が開始されました。