かつてイギリスに存在していた自働車メーカー、ブリティッシュ・レイランドは、1984年6月にトライアンフ・ブランドにて販売されていた小型4ドアセダン「アクレイム」の後継モデルとして、ローバー・ブランドより「200」を発売しました。本田技研工業との共同開発により誕生したモデルで、前年に発売された「ホンダ・バラード」と姉妹車種関係にありました。
オリジナルのフロントマスクを採用
ボディタイプはホンダ・バラード同様4ドアセダンのみのラインナップで、スタイリングも直線基調のスクエアなフォルムは基本的にバラードと共通でした。しかし、フロントマスクはスラントノーズのバラードとは異なる、オリジナルの直立した造形が採用されました。ボディサイズは全長4,156mm×全幅1,623mm×全高1,378mmで、表示方法の相違によりバラードと若干異なっていました。
初代ホンダ・バラードのイギリス生産版である先代トライアンフ・アクレイムとの比較では、全項目において若干拡大されていました。一方、ホイールベースは2代目バラードと共通の2,450mmで、アクレイムからは140mmほど延長されていました。駆動方式はバラード/アクレイム同様のFFで、エンジンはホンダ製のみの設定だったアクレイムに対し、ブリティッシュ・レイランド自製も用意されました。
エンジンはホンダ製1.3LとBL製1.6Lを用意
ラインナップは、ホンダ製が1.3L直4SOHCキャブレター仕様(最高出力71ps)、ブリティッシュ・レイランド製が1.6L直4SOHCキャブレター仕様(最高出力86ps)および同ルーカス電子燃料噴射仕様(最高出力103ps)で、トランスミッションは1.3Lにはホンダ製5速MTまたは3速トルコン式ATが、1.6Lにはホンダ製5速MTまたはZF製4速トルコン式ATが組み合わせられました。
サスペンション形式はバラード同様、フロントにマクファーソンストラット/トーションバー式、リアにトレーリングリンク・リジッド式が採用されました。グレード体系は、1.3Lエンジン搭載車が下から「213S」「213SE」、1.6Lエンジン搭載車が「216S」「216SE」「216ヴァンデン・プラス」「216ヴィテス」のラインナップでした。
生産はアクレイム同様、日本ではなくイギリスで行われました。ただし、アクレイムがヨーロッパ大陸向けの輸出のみで、イギリス国内での販売は行われなかったのに対し、ローバー・200はイギリス国内でも販売されました。その後、特にマイナーチェンジやバリエーションの拡大などは行われないまま1989年まで生産が続けられ、翌1990年に新型4ドアセダン「ローバー・400」にバトンタッチされました。