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サーブ 92 (1949-1956):先進的な機構を採用したサーブ車初の市販モデル

サーブ 92 (1949-1956)

かつて航空機メーカーであるサーブの自動車部門として存在していた「サーブ・オートモビル」は、1949年に同社初の市販モデルとなる大衆車「92」を発表しました。当時としては先進的なモノコックボディやFF方式、4輪独立懸架サスペンションなどが採用され、その優れた素性によりモータースポーツの世界でも活躍しました。

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Cd値0.3の空力特性を実現

サーブ 92 (1949-1956)

ボディタイプは、当初トランクリッドを持たなかった2ドアセダンのみの設定で、乗車定員は4名でした。そのスタイリングは、フラッシュサイド・フルワイズの流麗なフォルムが特徴でした。同世代を代表する大衆車のひとつであった「フォルクスワーゲン・タイプⅠ(ビートル)」が、独立した前後フェンダーやサイドステップが備わる古典的なスタイリングであったのとは対照的でした。

サーブ 92 (1949-1956)

また、近代的なエクステリア・デザインは決して見掛け倒れのものではなく、当時としては傑出したCd値0.3の空力特性を実現していました。ボディ・ディメンションは全長3,920mm×全幅1,620mm×全高1,430mm、ホイールベース2,470mmで、車両重量は765kgと軽量に抑えられていました。これらの数値は、フォルクスワーゲン・タイプⅠに近いものでした。

2ストロークエンジンを採用

サーブ 92 (1949-1956)

フロントに横置きマウントされるエンジンは、当時ヨーロッパでヒットしていた「DKW」製モデルの影響を受けた水冷2ストローク764cc直列2気筒で、6.6:1の圧縮比と1基のソレックス・キャブレターにより、最高出力25hp/4,000rpm・最大トルク7.1kgm/1,500rpmのアウトプットを発生しました。トランスミッションはローがノンシンクロの3速MTが組み合わせられ、最高速度105km/hの性能を発揮しました。

サーブ 92 (1949-1956)

また、このドライブトレインはエンジン・ブレーキを掛けた際のエンジンの焼き付きを回避するため、アクセル・オフ時に動力の伝達を遮断する独自の「フリーホイール機構」を備えていました。サスペンション形式はフロントがリーディングアーム式、リアがトレーリングアーム式で、スプリングは前後ともにトーションバー・スプリングが用いられていました。

M/Cで視界や使い勝手が向上

サーブ 92 (1949-1956)

その後1951年に、メーター類が西ドイツのVDO製からアメリカのスチュワート・ワーナー製に変更されました。次いで1953年のマイナーチェンジンで「92B」に移行、リアウィンドウが53%拡大され後方視界が改善されたほか、リアのラゲッジスペースにトランクリッドが設けられ、使い勝手が向上しました。

次いで1954年には、キャブレターや点火コイルの変更などにより最高出力が28hp/4,000rpmに向上するとともに、内外装に小変更が施されました。また、キャンバストップの選択が可能になったのもこの年のことでした。追って1955年にテールランプの意匠が変更されるとともに、電気式燃料ポンプが採用されました。

そしてこの年の12月に後継モデル「93」が発表されたことにともない、翌1956年に生産終了となりました。総生産台数は20,128台でした。

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