トヨタ自動車は1990年代末にGMとの共同プロジェクトにより新型コンパクトカーを開発、北米にある合弁会社「NUMMI」で生産を行い、まず北米向けモデルが「ポンティアック・ヴァイブ」の車名で2002年1月に発売され、追って同年8月に日本国内でも「ヴォルツ」の車名で逆輸入販売が開始されました。プラットフォームは9代目「カローラ」などと共通ながら、クロスオーバーSUV風に仕立てられた事が特徴でした。
個性的なスタイリング
ボディタイプはガラスハッチが備わる5ドアハッチバックで、前後のオーバーフェンダーや押し出しの効いたフロントマスクなど、個性的なスタイリングを備えていました。ボディサイズは全長4,365mm×全幅1,775mm×全高1,605~1,615mmの3ナンバーサイズで、ホイールベースはカローラと共通の2,600mm、車両重量は日本仕様で1,250~1,320kgでした。
駆動方式はFFとフルタイム4WDが設定され、サスペション形式はフロントが全車共通のストラット式で、リアはFF車がトーションビーム式、4WD車がダブルウィッシュボーン式でした。エンジンは2種類の1.8L直4DOHCが用意され、標準グレード「S」にはレギュラーガソリン仕様の1ZZ-FE型が、スポーティグレード「Z」にはハイオクガソリン仕様の2ZZ-GE型が搭載されました。
スペックは、1ZZ-FE型FF用が最高出力132ps/最大トルク17.3kgm、同フルタイム4WD用が最高出力125ps/最大トルク16.4kgm、2ZZ-GE型(FFのみの設定)が最高出力190ps/最大トルク18.4kgmで、トランスミッションはそれぞれにインパネシフト4速トルコン式ATが設定された他、2ZZ-GE型エンジン搭載車には6速MTも用意されました。
インテリアも個性派
インテリア面では、4眼式オプティトロンメーター採用の個性的なインパネや、荷物固定の為のデッキフロアレールや8つのデッキフックが備わるラゲッジスペースが特徴でした。装備面では、SRSデュアルエアバッグシステムやEBD付きABS、前後フォグランプなどが全車に採用された他、Zには1インチアップの17インチアルミホイールや革巻きステアリングホイールが備わりました。
そして2003年2月に、Sをベースにシルバーメタリックの専用ボディカラーや同色のカラードバンパー及びクラディングパネルを採用した特別仕様車「S シルバーエディション」が設定されました。次いで同年8月の一部改良で、ボディカラーの一部変更と共にボディ同色のカラードバンパー及びクラディングパネルが全車に採用された他、オプティトロンメーターの照明がホワイトに変更されました。
しかしながら、販売不振に伴い翌2004年4月に発売から僅か2年足らずで国内販売が終了になりました。一方、比較的堅調な販売実績のあった北米向けヴァイブは、2008年まで生産が継続された上で2代目モデルに引き継がれました。