富士重工業は2005年、アメリカおよびカナダ市場において、アッパーミディアムクラスの新型クロスオーバーSUV「スバル・B9トライベッカ」を発売しました。生産はアメリカのインディアナ州にある工場で行われ、翌2006年にはメキシコやヨーロッパ市場への輸出が開始されるなど、販売エリアが拡大されました。しかし、日本市場には最後まで導入されないまま終わりました。
初期型は個性的なフロントマスクが特徴
5ドアボディのエクステリアは、丸みを帯びたフォルムが特徴でした。また、初期型は当時のスバル車のアイデンティティとなっていた「スプレッドウイングズグリル」と呼ばれる3分割式のフロントグリルと、異型ヘッドランプによる個性的なフロントマスクを備えていました。空力特性はクロスオーバーSUVとしては優秀で、Cd値0.38を実現していました。
ボディサイズは全長4,821mm×全幅1,877mm×全高1,690mmで、ホイールベースはプラットフォームを共有する「スバル・レガシィ」よりも80mmほど長い2,748mmに設定されていました。また、車両重量は1,885kgでした。サスペンション形式は、フロントはレガシィと同一のマクファーソンストラット式が踏襲された一方、リアはマルチリンク式に代わり専用設計のダブルウィッシュボーン式が採用されました。
フルタイム4WD仕様のみを用意
駆動方式は、前後トルク配分45:55固定式のフルタイム4WDのみの設定で、エンジンは当初、レガシィにも搭載されていた3L水平対向6気筒DOHCハイオクガソリン仕様のEZ30型(最高出力250ps/6,600rpm・最大トルク30.3kgm/4,200rpm)が搭載されました。組み合わせられるトランスミッションは、5速トルコン式ATのみの設定でした。
ステアリング形式はラック&ピニオン式で、ブレーキは前後ともにベンチレーテッド・ディスク式が採用されました。また、ホイール&タイヤは、前後とも8.0J×18インチホイール+255/55R18タイヤの組み合わせでした。一方室内は、3列シート7人乗り仕様のほか、2列シート5人乗り仕様も用意されていました。
フロントマスクを一新、「トライベッカ」に
その後2007年にマイナーチェンジが実施され、車名が「スバル・トライベッカ」に変更されるとともに、不評であったフロントマスクの意匠が一新されました。フロントグリルは一般的な水平基調の一体型となり、ヘッドランプも横長の意匠に変更されました。同時に、モアパワーの声に応えるためエンジンが3.6Lに拡大されました。
レギュラーガソリン仕様に変更されながらも、アウトプットが最高出力258ps/最大トルク35.7kgmに向上、従来同様5速ATとの組み合わせによるパフォーマンスは、最高速度207km/h・0-100km/h加速8.9sでした。そして2014年をもって生産を終了、後継モデルのリリースはなく1代限りでトライベッカの車名は消滅しました。