フォルクスワーゲンのミドルクラスセダン/ワゴンの「パサート」は、2014年7月に欧州でフルモデルチェンジを発表し8代目となり、2015年7月に日本国内で販売が開始されました。先代からプラットフォームやパワートレインを刷新し、動力性能や燃費、居住性、安全性能などあらゆる面で改善が図られ、全方位的に完成度が高まったニューモデルとなっています。
ボディサイズはほぼ同等ながら居住性が向上
スタイリングは、直線を基調とするシャープなフォルムは先代譲りで劇的な変化はないものの、フロントマスクは新世代のフォルクスワーゲン車を象徴する水平基調のデザインが取り入れられています。ボディのバリエーションは、先代同様4ドアセダンと5ドアステーションワゴンの「ヴァリアント」が用意され、プラットフォームは同社の次世代プラットフォーム戦略「MQB」の採用により一新されました。
ボディサイズは、セダンは全長4,785mm×全幅1,830mm×全高1,465mmで、先代よりも全幅が10mm拡大され、全高は25mm低くなっています。ヴァリアントは、それぞれ4,775mm×1,830mm×1,485mmで、先代よりも全長が10mm短く、全幅が10mm広く、全高が45mm低いディメンションに変わっています。ホイールベースは共に先代より80mm長い2,790mmで、前後のオーバーハングが短縮されています。
サスペンション形式は、先代同様の前:マクファーソンストラット式/後:4リンク式を踏襲し、車両重量はセダンが先代より30kg重い1,460kg、ヴァリアントは40kg重い1,510kgとなっています。室内は、居住空間やラゲッジスペースが拡大された他、インパネがエクステリア同様水平基調のデザインに一新され、タッチスクリーン式インフォテインメントシステムが新たに採用されました。
エンジンはパワー・燃費共に向上
パワートレインは、日本に導入されるのは先代同様1.4L直4直噴ガソリンターボエンジンと7速DSGの組み合わせのみとなります。エンジンは新世代のものに刷新され、最高出力が先代より28psアップの150ps、最大トルクが5.1kgmアップの25.5kgmとなった他、気筒休止マネジメントの採用などにより燃費も2.8km/L向上し20.4km/Lとなりました。駆動方式は、先代同様FFのみの設定となっています。
グレード体系は先代から2種類増え、下から「TSIトレンドライン」「TSIコンフォートライン」「TSIハイライン」「TSI Rライン」の4種類が設定され、何れも右ハンドル仕様のみとなります。その内、「TSIコンフォートライン」以上に3ゾーンフルオートエアコンディショナーが、「TSIハイライン」以上にパサート史上初となるパワーテールゲートが装備されます。
又、安全装備は大変充実しており、全グレードに衝突被害軽減ブレーキの「プリクラッシュブレーキシステム」やレーンキープアシストシステム、レーンチェンジアシストシステム、後退時警告・衝突軽減ブレーキの「リヤトラフィックアラート」、そしてニーエアバッグを追加したSRS9エアバッグシスエムが標準装備されます。
パサートは欧州では大変人気が高くベストセラーカーとなっているものの、セダン/ワゴン需要の限られる日本市場では苦戦し、先代モデルの月間平均販売台数は千台にも満たない状況になっていました。そうした中、総合的な魅力が大幅にアップした新型パサートがどの程度現状を覆せるか、興味深いところとなっています。