ランボルギーニは、1973年に発売した2+2シータースポーツカー「ウラッコ」の後を継ぐ車種として、1976年のジュネーブショーにおいてニューモデル「シルエット」を発表しました。基本メカニズムやプラットフォームをウラッコから踏襲しつつ、ボディはリデザインが施されデタッチャブルトップ(タルガトップ)化されると共に、狭い後席はなくなり2シーターに変更されました。
ボディ形状を変更
車体構造はウラッコ同様のモノコック構造で、足回りは4輪ストラット式サスペンションを受け継ぎながら、スプリングやダンパー、スタビライザーに強化が施されました。タイヤはフロントが195/50VR15、リアが285/40VR15というワイドかつ扁平な「ピレリP7」が採用され、ホイールは1974年に発表されたコンセプトモデル「ブラーヴォ」のものが流用されました。
スタイリングは、ウラッコをデザインしたガンティーニ自身により手が加えら、ボディ後半部がファーストバックからフラットデッキに変更された他、リアクォーターウィンドウが廃止され、前後のフェンダーアーチはオーバーフェンダーが備わる角張ったデザインに変えられました。更にフロントスポイラーの追加やバンパー形状の変更も行われ、全体的な雰囲気はウラッコから大きく変貌しました。
ボディサイズは全長4,320mm×全幅1,830mm×全高1,120mmで、前述のボディ形状変更に伴い全長・全幅共にウラッコから70mm拡大されました。ホイールベースは同一の2,450mmで、車両重量はウラッコP300よりも100kg軽い1,200kgでした。駆動方式はエンジンを横置きにマウントするミッドシップ方式を踏襲し、パワートレインはウラッコP300と同一の3L V8DOHCエンジンと5速MTの組み合わせでした。
インパネのデザインを一新
エンジンのスペックは最高出力260hp/7,800rpm・最大トルク28.1kgm/5,750rpmで、最高出力はウラッコ時代から10hpの向上を果たしました。インテリアはインパネのデザインが一新され、横長のインパネの左右両端にスピードメーターとタコメーターが配置されていたウラッコに対し、台形のメーターナセルの中央部分に、大径のスピードメーターとタコメーターが小径の燃料計を挟んで配置されるレイアウトに変更されました。
又、後席の廃止に伴い運転席及び助手席がバックレスト固定式のセミバケットタイプに変更された他、後席のあった場所はそのままラゲッジスペースとなり、取り外したルーフはそこに収納されるようになっていました。シルエットは、性能が向上した「ポルシェ・911」に対抗すべく発売されたモデルだったものの、販売は振るわず、生産終了となる1979年までの3年間に僅か54台が生産されたに留まりました。