マセラティは2007年3月のジュネーブ・ショーで、「マセラティ・クーペ」及び「グランスポーツ」に代わる新たな高級2ドア4シータークーペ「グランツーリズモ」を発表しました。フラッグシップサルーンの5代目「クアトロポルテ」をベースに開発され、従来モデルからボディサイズが大幅に拡大されました。
デザインはピニンファリーナが担当
エクステリア・デザインは、マセラティ・クーペ/グランスポーツのイタルデザインに代わりピニンファリーナにより手掛けられました。スタイリングは、正にクアトロポルテの2ドアクーペ版と言える流麗かつグラマラスなフォルムが備わっていました。ボディサイズは全長4,885mm×全幅1,915mm×全高1,335mmで、従来モデルからそれぞれ363mm×93mm×30mm拡大されました。
又、ホイールベースは282mm延長され2,660mmとなり、車両重量は200kg程重い1,880kgとなっていました。サスペンション形式は4輪ダブルウィッシュボーンを踏襲し、駆動方式も引き続きFRのみの設定で、クアトロポルテにラインナップされていたフルタイム4WDは用意されませんでした。エンジンは、当初採用されたのはマセラティ・クーペ/グランスポーツ譲りの4.2L V8DOHC NAでした。
スペックは最高出力406ps/7,100rpm・最大トルク46.9kgm/4,750rpmで、グランスポーツ時代から6ps/0.9kgmの向上を果たしていました。トランスミッションは、従来の6速MT及び6速セミATに代わり6速トルコン式ATが採用されました。同時に、レイアウトがトランスアクスル方式から一般的なエンジン後方へのマウントに変更されたものの、前後重量配分は52:48から49:51に改善されていました。
高性能版を相次いで追加
動力性能は最高速度285km/h・0-100km/h加速5.4sで、グランスポーツとの比較では若干低下していました。そして翌2008年5月に、高性能バージョンの「S」が追加されました。エンジンの排気量を4.7Lに拡大し、アウトプットが最高出力440ps/7,000rpm・最大トルク50kgm/4,750rpmに向上すると共に、トランスミッションが6速AMT「MCシフト」に変更されました。
更に、トランスアクスルレイアウトを復活させ、前後重量配分は47:53となりトラクションとハンドリングが一層向上しました。動力性能は最高速度295km/h・0-100km/h加速4.9sで、グランスポーツを凌ぐものでした。更に、電子制御ダンパー「スカイフック」の採用やブレーキディスク径の大径化、ホイールのインチアップなどが図られていました。追って2009年7月には、6速トルコン式AT仕様が追加されました。
次いで2010年9月のパリ・サロンで、Sをベースにエンジンのアウトプットを最高出力450ps/7,100rpm・最大トルク52kgm/4,750rpmまで高めると共に、リアシートを撤去し車両重量を1,770kgに軽量化した「MCストラダーレ」が発表されました。これらのモディファイにより、MCシフトを介しての動力性能は最高速度301km/h・0-100km/h加速4.6sへと向上しました。
続いて2012年3月のジュネーブ・ショーで、アウトプットを最高出力460ps/7,000rpm・最大トルク53kgm/4,750rpmへと更に高め、専用の内外装を採用する「スポーツ」が発表されました。MCストラダーレと異なり4シーター仕様で、トランスミッションはMCシフトと6速トルコン式ATを選択する事が出来ました。