日産自動車は1982年4月、同社のエントリーモデルである「パルサー」に5年ぶりのフルモデルチェンジを実施し2代目N12型に移行させると共に、引き続き設定されたクーペに「エクサ(EXA)」のサブネームを付加しました。同時に、ボディタイプが従来のガラスハッチ付3ドアクーペから独立したトランクルームを持つ2ドアクーペに変更されました。
リアサスペンションを変更
スタイリングも先代のファストバックからノッチバックに変貌すると共に、リトラクタブルヘッドランプが採用されるなど、大幅なイメージ刷新が図られました。同時に空力特性向上にも注力され、Cd値0.37を達成しました。ボディサイズは全長4,125mm×全幅1,620mm×全高1,355mmで、先代から全長が160mm程拡大されました。
又、ホイールベースも20mm延長され2,415mmとなった一方で、車両重量は先代より軽い795~830kgとなりました。サスペンションは、先代の4輪ストラット式からリアがセミトレーリングアーム式に変更されると同時に、ハッチバックやサルーンには備わらないフロントスタビライザーが装着されました。
駆動方式はFFを踏襲し、エンジンは当初先代からのキャリオーバーとなる1.5L直4SOHC電子制御式キャブレター仕様のE15S型(最高出力85ps/最大トルク12.3kgm)と、そのEGI版となるE15E型(最高出力95ps/最大トルク12.5kgm)が用意されました。組み合わせられるトランスミッションは5速MTの他、前者には3速トルコン式AT「ニッサンマチック」が用意されました。
その他の機構面では、ステアリング形式はラック&ピニオン式が、ブレーキはフロント:ディスク式/リア:ドラム式が採用されました。又、タイヤは165/70SR13サイズのスチールラジアルタイヤが装着されました。一方インテリア面は、水平基調のインパネに設けられた丸型3眼式メーターや、2本スポーク式ステアリングホイール、セミバケットタイプのフロントシートなどが採用されました。
当初のグレード体系は、E15S型エンジン搭載の標準グレード「EXA」とE15E型エンジン搭載の上級グレード「EXA・E」のラインナップで、装備面では両グレードに電動式リモコンフェンダーミラーやAM/FMマルチラジオ、トランクスルーシートなどが備わる他、更にEXA・Eにはガラスサンルーフや燃料残量警告灯が標準装備されました。
パルサーエクサのCM
ターボ車やコンバーチブルを追加
EXAのみにパワーステアリング装着車が設定されました。そして1983年5月の一部改良で国産車初のドアミラーが採用されると同時に、E15E型にターボチャージャーを装着したE15ET型エンジン(最高出力115ps/最大トルク17kgm)を搭載し、強化サスペンションや4輪ディスクブレーキ、175/70SR13タイヤ、専用バケットシートなどが装備される「EXAターボ」が追加されました。
次いで1985年5月、この車種を扱うチェリー店の発足15周年記念モデルとして、E15S型エンジンを搭載するソフトトップカブリオレ「EXAコンバーチブル」が100台限定で発売されました。そして1986年10月にパルサーのフルモデルチェンジが実施されると、クーペはパルサーから独立すると共に、車名が「パルサーエクサ」から「エクサ」に変更されました。
後継モデル:日産 エクサ