1973年に空冷リアエンジン方式の「タイプⅠ」や「タイプⅢ」などに取って代わる新世代の水冷エンジンFF車として誕生したフォルクスワーゲンの小型車「パサート」は、1996年に3年ぶり4度目のフルモデルチェンジを受け、5代目B5型に移行しました。2代目モデル以来にアウディの車種(A4)と姉妹関係となり、先代からは基本設計が一新されました。
サスペンション形式を一新
ボディタイプは先代同様、6ライトウィンドウの4ドアセダンと、「ヴァリアント」から「ワゴン」に名称が変更された5ドアステーションワゴンが設定されました。スタイリングは、「ハッピーフェイス」と呼ばれるフロントグリルを踏襲しながらも、より丸みを帯びたフォルムとなり空力特性が向上、Cd値は0.27を実現しました。
初期型のボディサイズは全長4,669~4,676mm×全幅1,740mm×全高1,463~1,499mm、ホイールベースは2,703mmで、全ての項目で先代から拡大・延長されました。サスペンション形式は、初代モデル以来継承されてきたフロント:マクファーソンストラット式/リア:セミトレーリングアーム式から、フロント:4リンク式/リア:トーションビーム式に一新されました。
駆動方式は従来同様FFとフルタイム4WDが用意される一方で、エンジンマウントは横置きから2代目以来となる縦置きに変更されました。エンジン・ラインナップは、ガソリンは1.6L/1.8L/2L(16V/20V)の直4NA、1.8L直4ターボ、2.8L V6 NAが、ディーゼルは1.9L/2Lの直4と2.5L V6が用意されました。
組み合わせられるトランスミッションは、5速/6速MTと4速/5速トルコン式ATが設定されました。日本市場には1997年8月より、まず1.8L直4NAエンジン(最高出力125ps/最大トルク17.1kgm)+4速AT+FF方式採用のセダン「1.8」と、同ターボエンジン(最高出力150ps/最大トルク21.4kgm)+5速AT+FF方式採用のセダン「1.8T」が導入されました。
安全装備面では、SRSデュアルエアバッグシステムやABSに加え、SRSサイドエアバッグシステムが標準装備されました。その後の日本仕様車の変遷は、まず翌1998年4月にセダンと同等の仕様が備わるワゴン「1.8」「1.8T」と、2.8L V6エンジン(最高出力193ps/最大トルク28.6kgm)+5速AT+フルタイム4WD方式採用のセダン「V6シンクロ」が追加されました。
ビッグM/Cにより大幅に進化
追って同年6月には、ワゴンにもV6シンクロが追加になりました。そして欧州仕様が2001年にビッグマイナーチェンジを受けB5.5型に移行すると、日本仕様も同年10月に改良型に切り替えられました。従来型との比較では、エクステリアデザインの刷新を含め2,315箇所に及ぶ仕様変更が施されました。
機構面では、ガソリン2.3L V5エンジンや4L W8エンジンが追加された他、SRSカーテンエアバッグシステムやEBD&ブレーキアシスト、ESP(横滑り防止装置)が採用されるなど、安全装備面でも大幅な強化が図られました。日本仕様のグレード体系は、セダン/ワゴン共に「V5」「V6」「V6 4モーション」の3タイプがラインナップされました。
詳細は、V5が2.3L V5エンジン(最高出力170ps/最大トルク22.4kgm)+5速AT+FF方式、V6が2.8L V6エンジン+5速AT+FF方式、V6 4モーションが2.8L V6エンジン+5速AT+フルタイム4WD方式でした。そして翌2002年4月、ワゴンに2L直4エンジン(最高出力116ps/最大トルク17.5kgm)+4速AT+FF方式採用のベースグレード(グレード名無し)が追加されました。
更に翌5月には、セダン/ワゴンに4L W8エンジン(最高出力275ps/最大トルク37.7kgm)+5速AT+フルタイム4WD方式採用の「W8 4モーション」が追加になりました。そして欧州仕様車が2005年のフルモデルチェンジにより6代目B6型に移行すると、日本仕様車も翌2006年4月から新型に切り替えられました。