フォルクスワーゲンは1998年、同社のエントリーモデルであった「ポロ」がモデルチェンジの度に車格が上がっていった事を受け、ボトムレンジを受け持つ新たなスモールカー「ルポ」をリリースしました。欧州でのメイングレードは1.2L3気筒ディーゼルエンジンを搭載する「3L」で、3Lの燃料で100kmの走行を可能とする経済性が大々的にアピールされました。
高い安全性能を確保
ボディタイプは3ドアハッチバックのみの設定で、スタイリングは丸型ヘッドランプ採用のフロントマスクによりフレンドリーな雰囲気が演出されていました。ボディサイズは全長3,530mm×全幅1,640mm×全高1,475mmで、全高を除きポロよりも一回り小さく、ホイールベースは90mm短い2,320mmに設定されていました。
サスペンション形式はポロ同様のフロント:ストラット式/リア:トレーリングアーム式で、駆動方式も同様にFFが採用されました。エンジンは当初、1L直4 8V(最高出力50ps/最大トルク8.6kgm又は8.8kgm)及び1.4L直4 16V(最高出力75ps/最大トルク12.8kgm)のガソリンと、1.7L直4ディーゼル(最高出力60ps/最大トルク11.7kgm)が用意されました。
トランスミッションはポロと同様、5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。又、安全装備面ではSRSデュアル&サイドエアバッグシステムやEBD付ABS、ESBS(エレクトリック・スタビリティ・ブレーキ・システム)などが備わり、衝突安全ボディの採用と相まって、Aセグメントのコンパクトカーながら高い安全性能が確保されていました。
そして翌1999年、新たなラインナップとして、1.4L直4 16Vガソリンエンジンのチューンナップ版(最高出力100ps/最大トルク12.8kgm)を搭載する「Sport」、1.2L直3ディーゼルターボエンジン(最高出力61ps/最大トルク14.3kgm)+5速AMTを搭載する前述の3L、1.4L直3ディーゼルターボエンジン(最高出力75ps/最大トルク19.9kgm)を搭載する「1.4TDI」が追加されました。
ホットハッチ「GTI」も登場
次いで2000年にもラインナップの拡大が図られ、1.4L直4ガソリンエンジンに 8V仕様(最高出力60ps/最大トルク11.8kgm)が加わった他、1.4L直4 16V直噴ガソリンエンジン(最高出力105ps/最大トルク13.3kgm)搭載の「1.4FSI」と、1.6L直4 16Vガソリンエンジン(最高出力125ps/最大トルク15.5kgm)+5速MT搭載のホットハッチ「GTI」が登場しました。
日本市場においては、まず2001年7月に1.4Lガソリンエンジン+4速ATを搭載するベースグレード及び上級グレード「コンフォートパッケージ」の導入が開始され、2003年5月にGTIが追加されました。そして2005年、後継モデル「フォックス」のデビューに伴い生産を終了、日本においても翌2006年4月に在庫分完売により販売終了となりました。
日本市場へのフォックスの導入はなく、再びポロがエントリーモデルとしての役割を担う事となりました。