ダイムラー・ベンツ(現ダイムラーAG)は1976年、それまでのW114/115型(通称コンパクトクラス)に代わるミディアムモデルW123型を発売しました。ボディは若干拡大されたものの扱い易いサイズが継承され、当初は4ドアセダンのみだったボディバリエーションも、追って2ドアクーペ(実態は2ドアピラーレスハードトップ)や5ドアステーションワゴンが追加されました。
Sクラス譲りのフロントマスクを採用
スタイリングは、ヘッドランプがそれまでの縦型に代わりW116型「Sクラス」に類似した意匠の横型が採用されるなど、イメージがリフレッシュされました。ボディサイズは全長4,725mm×全幅1,785mm×全高1,440mmで、W115/116型から全長が45mm、全幅が15mm拡大されました。又、ホイールベースも全長と同様45mm延長され、2,795mmとなりました。
駆動方式は従来同様FRで、搭載エンジン及びグレード体系は、当初ガソリンは2L直4SOHCキャブレター仕様(最高出力105ps)の「200」、2.3L直4SOHCキャブレター仕様(最高出力109ps)の「230」、2.5L直6SOHCキャブレター仕様(最高出力129ps)の「250」、2.8L直6DOHC燃料噴射仕様(最高出力177ps)の「280E」の4タイプがラインナップされました。
一方ディーゼルは、2L直4SOHC(最高出力55ps)の「200D」、2.2L直4SOHC(最高出力60ps)の「220D」、2.4L直4SOHC(最高出力65ps)の「240D」、3L直5SOHC(最高出力80ps)の「300D」の4タイプのラインナップでした。トランスミッションはW115/116型同様、4速MT又は4速トルコン式ATが組み合わせられました。
3列シートのリムジンも追加に
サスペンション形式は、W114/115型同様のフロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:セミトレーリングアーム式が踏襲されました。そして1977年に全長とホイールベースを630mm延長した3列シート仕様のリムジンと、前述のクーペが追加されました。リムジンのグレード体系は、250/240D/300Dの3タイプがラインナップされました。
一方、クーペは2.3L直4エンジン搭載の「230C」、2.8L直6キャブレター仕様エンジン(最高出力156ps)搭載の「280C」、同燃料噴射仕様エンジン搭載の「280CE」の3タイプのラインナップでした。次いで翌1978年、ステーションワゴンの「Tシリーズ」(230T/250T/280TE/240TD/300TD)がラインナップに加わりました。
続いて1979年、2.3L直4燃料噴射仕様エンジン(最高出力136ps)搭載のセダン「230E」が追加されると共に、220D用2.2Lディーゼルエンジンの最高出力が60psに向上、その一方で200Dがカタログ落ちしました。更に1980年には、ステーションワゴンに3L直5ディーゼルターボエンジン(最高出力125ps)搭載の「300TDT」が追加されました。
同時に、クーペ230Cが燃料噴射仕様の「230CE」に置き換えられました。追って翌1981年、3Lディーゼルターボエンジンを搭載するセダン「300DT」とクーペ「300CDT」が追加されました。そして1982年のフェイスリフトでヘッドランプが丸型から角型に変更された後、1985年に初代「Eクラス」(W124型)にバトンタッチして生産終了となりました。