三菱自動車は1996年7月、2代目「パジェロ」をベースとした新型クロスカントリー型SUV「チャレンジャー」を発売しました。パジェロ譲りのラダーフレームと4WDシステム「スーパーセレクト4WD」を踏襲する一方、ハイトの低い専用ボディが与えられるなど独自の個性を備えていました。
5ドア・5人乗り仕様のみを設定
ボディタイプは5ドアのみで、室内も2列シート5人乗り仕様のみの設定となるなど、3ドアのショートボディや3列シート7人乗り仕様も用意されたパジェロと比較するとシンプルなバリエーション展開でした。ホイールベースはパジェロ・ロングボディと同一の2,725mmながら、ボディサイズは全長4,530mm×全幅1,695~1,775mm×全高1,710~1,730mmと一回り小さく、特に全高は20cm近く低く設定されていました。
スタイリングはパジェロの流れを汲むボクシーなフォルムが採用された一方、前述のディメンションの相違から相対的にスマートな雰囲気が備わっていました。又、車両重量は100kg以上軽い1,790~1,830kg(初期型)でした。サスペンション形式は、パジェロ同様のフロント:ダブルウィッシュボーン/トーションバー式・リア:3リンク/コイル式が踏襲されました。
エンジンは3種類でスタート
エンジンは当初、2.5Lの4D56型(最高出力105ps/最大トルク24.5kgm)及び2.8Lの4M40型(最高出力125ps/最大トルク30kgm)の2種類の直4SOHCターボディーゼルと、3L V6SOHCガソリンNAの6G72型(最高出力185ps/最大トルク27kgm)の全3種類が用意されました。トランスミッションは4速トルコン式ATの他、ディーゼル車には5速MTも用意されました。
又、ブレーキは全車にフロントがベンチレーテッド型の4輪ディスクブレーキが採用されました。発売当初のグレード体系は、下から「S」「Z」「X」「XR」の4タイプがラインナップされ、Sを除きワイドフェンダー&ワイドタイヤ採用の3ナンバーボディでした。そして1997年8月のマイナーチェンジで、エクステリア・デザインが一部変更されました。
三菱 チャレンジャーのCM
ラインナップを整理
同時に、ガソリン車のエンジンが3.5L V6DOHC GDI仕様の6G74型(最高出力245ps/最大トルク35kgm)に置換されると共に、ディーゼル車のエンジンが電子燃料噴射式に変更された4M40型(最高出力140ps/最大トルク32kgm)に一本化されました。又、グレード体系も変更され、ディーゼル車が「X」「XR」の2タイプ、ガソリン車が「GDI-ZX」「GDI-X」「GDI-XR」の3タイプとなりました。
次いで1998年8月の一部改良で装備の充実が図られると共に、グレード体系がディーゼル車は「XG」のモノグレードに、ガソリン車は「GDI-X」「GDI-XR」にフルタイム4WD方式採用の受注生産グレード「シティクルージング」を加えた3タイプになりました。続いて1999年6月のマイナーチェンジでフェイスリフトが実施されると共に、エンジンが6G74型に一本化されました。
同時に4WDシステムが全車フルタイム4WD方式に変更された他、グレード体系が「X」「XR」の2タイプに整理されました。そして2001年10月に、実質的な後継モデル「エアトレック」の発売に伴い国内販売を終了しました。一方、輸出仕様車の製造販売は2010年まで継続されました