1978年に「チェリーF-Ⅱ」の後継車種としてデビューした日産自動車のコンパクトカー「パルサー」は、1995年1月に4度目のブルモデルチェンジを受け、5代目N15型に移行しました。先代からプラットフォームが刷新されると共に、追って安全装備の強化が図られました。又、ハッチバックは「セリエ」のサブネームが付加されると共に、RV風モデルも追加されました。
ターボ車は廃止に
ボディタイプは、当初3ドアハッチバックと4ドアセダンのラインナップでスタートし、スタイリングは先代から更に丸みを帯びたフォルムに変貌しました。ボディサイズは全長4,120mm(セリエ)/4,320mm(セダン)×全幅1,690mm×全高1,385~1,410mmで、先代から全長が拡大されました。又、ホイールベースは105mm延長され2,535mmとなりました。
駆動方式は先代同様FFとフルタイム4WDが設定され、サスペンション形式は先代が全車4輪ストラット式であったのに対し、FF車のみリアがマルチリンクビーム式に変更されました。エンジンは、ガソリンは1.3Lと2Lターボが廃止され、1.5L直4DOHCのGA15DE型、1.6L直4DOHCのGA16DE型、1.8L直4DOHCのSR18DE型の3種類に整理されました。
又、セダンのみに用意されたディーゼルは、より排気量の大きい2L直4SOHCのCD20型に置換されました。最高出力/最大トルクは、GA15DE型が105ps/13.8kgm、GA16DE型が120ps/14.8kgm、SR18DE型が140ps/17kgm、CD20型が76ps/13.5kgmで、トランスミッションは各エンジンに5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。
RV風5ドアワゴンを追加
当初のグレード体系は、セダンが下からCJ-Ⅰプライマリー/CJ-Ⅰ/X1/CJ-Ⅱ/X1R/GT、セリエがREZZOプライマリー/REZZO/X1/X1R/GTiのラインナップでした。そして1996年5月に、RV風の外観を持つ5ドアワゴン「セリエS-RV」(1500/1800)が追加されました。ボディサイズがセリエから全長が70mm、全高が60mm拡大されると共に、全車に助手席SRSエアバッグシステムが採用されました。
更に翌6月、セリエGTIをベースに2L直4DOHCのSR20DE型エンジン(最高出力175ps/最大トルク19kgm)を搭載し、専用の内外装や足回りなどが備わるオーテックジャパン製の特装車「2.0オーテック・バージョン」が追加されました。追って同年8月にセリエS-RVを除きマイナーチェンジが実施され、全車に助手席SRSエアバッグシステムとABSが標準化されました。
次いで1997年9月の2度目のマイナーチェンジにより、エクステリア面ではフロント廻りとリア廻りの意匠が、インテリア面ではステアリングホイールの形状などが変更されました。同時に、セダン/セリエに1.6L直4DOHC NEO VVL(可変バルブタイミングリフト)仕様のSR16VE型エンジン(最高出力175ps/最大トルク16.5kgm)を搭載する「VZ-R」が追加されました。
その他、セリエS-RVにもABSが標準化されました。次いで1998年5月、セダンに特別仕様車「CJ-Ⅰ 20thアニバーサリー」が、追って1999年1月に新グレード「CJ-Ⅰリミテッド」が追加されました。そして同年8月にディーゼル車が廃止された後、2000年8月に全車販売終了となり、国内市場においては22年の歴史に幕を下ろす形となりました。