ダイムラーAGは2009年9月のフランクフルト・ショーにおいて、2003年にリリースした「SLRマクラーレン」の実質的な後継モデルとなる2シータースーパーカー「SLS AMG」を発表しました。メルセデス・ベンツ車のチューニング及びレース活動を担当するAMG社が単独で開発を手掛けた初のモデルで、1954年に発売された「SL300」以来となるガルウイングドアの採用が特徴でした。
トンラスアクスルレイアウトを採用
ロングノーズ・ショートデッキの古典的なプロポーションを持つクーペボディには、航空機をモチーフとしたディテールが随所に取り入れられました。又、フレームの素材はSLRマクラーレン同様アルミニウムが採用された一方で、ボディの素材はコストダウンの為カーボン製からスチール製に変更されました。
ボディサイズは全長4,640mm×全幅1,940mm×全高1,265mmで、SLRマクラーレンに対して僅かに短くワイドなディメンションとなりました。又、ホイールベースは20mm短い2,680mmで、車両重量は100kg以上軽い1,620kgに抑えられていました。ドライブトレインは、FR方式を踏襲すると共にトランスアクスルレイアウトを採用、前後重量配分はFR車の理想値に近い47:53を実現しました。
エンジンは、各63AMG系モデルに搭載されるAMG製6.2L V8DOH NAに120箇所以上に及ぶ改良が施された上、フロントミッドシップに搭載されました。スペックは最高出力571ps/6,800rpm・最大トルク66.3kgm/4,750rpmで、7速DCT「AMGスピードシフトDCT」との組み合わせにより、最高速度317km/h・0-100km/h加速3.9sの動力性能を発揮しました。
サスペンション形式はSLRマクラーレン同様の4輪ダブルウィッシュボーン式で、4輪ディスク式のブレーキは4輪ともベンチレーテッド型にアップグレードされた一方、標準装備だったセラミックブレーキはオプション扱いとなりました。又、安全装備としてSRS8エアバッグシステムやブレーキアシスト付ABS、横滑り防止装置「ESP」などが装備されました。
カブリオレや高性能版を追加
一方インテリアは、本革製パワーシートが標準装備される他、B&O製オーディオシステムがオプション設定されました。日本では2010年6月に発売され、その価格はSLRマクラーレンの半額以下の2,430万円でした。そして2011年9月、電動ソフトトップコンバーチブルの「ロードスター」が発売されました。ドアは一般的な横開き式に変更され、車両重量はクーペから40kg増加しました。
次いで2012年11月、専用の内外装が備わるボディに、6.2Lエンジンの最高出力を591psまで高めて搭載する「GT」及び「GTロードスター」が追加されました。更に2013年2月には、随所にカーボン素材を採用し1,550kgまで軽量化したボディに、エンジンのアウトプットを最高出力631ps/7,400rpm・最大トルク64.8kgm/5,500rpmとして搭載する「クーペ・ブラックシリーズ」が発売されました。
そして2014年に全車生産を終了、同年秋に後継モデルの「メルセデスAMG・GT」が発表されました。