フォードは1985年、古典的な設計の「LTD」の後を継ぐミディアムサイズの乗用車「トーラス」を発売しました。プラットフォームがFR方式の「パンサープラットフォーム」からFF方式の「D186プラットフォーム」に変更されると共に、空力特性を追求したデザインが採用された事が大きな特徴でした。北米市場において大ヒットし、同社の屋台骨を支える存在となりました。
優れたCd値を実現
ボディタイプはLTD同様、4ドアセダンと5ドアステーションワゴンがラインナップされました。エクステリア・デザインは、直線基調のボクシーなLTDから一転し、曲線を取り入れた流麗なフォルムに変貌しました。又、空力性能の指標となるCd値は、セダンで0.33、ワゴンで0.35という優秀な数値を実現していました。
ボディ・ディメンションは全長4,785mm(セダン)/4,874mm(ワゴン)×全幅1,798mm×全高1,379mm(セダン)/1,400mm(ワゴン)、ホイールベース2,692mmでした。サスペンション形式は、フロントは全車マクファーソンストラット式となる一方、リアはセダンとワゴンで異なっており、前者にはマクファーソンストラット式が、後者にはダブルウィッシュボーン式が採用されました。
エンジンは当初、2.5L直4OHVの「HSC」(最高出力88hp/最大トルク18kgm)と、3L V6OHVの「バルカン」(最高出力140hp/最大トルク22.1kgm)が用意されました。トランスミッションは、前者には5速MT又は3速トルコン式ATが、後者には4速トルコン式ATが組み合わせられました。又、ブレーキはフロント:ディスク式/リア:ドラム式というコンベンショナルな形式でした。
室内は、1列目セパレート仕様とベンチシート仕様が用意され、乗車定員はセダンが5/6人乗り、ワゴンが5/7/8人乗りとなっていました。グレード体系は当初、下から2.5Lエンジン+MT搭載の「MT5」、2.5L又は3Lエンジン+AT搭載の「L」「GL」、3Lエンジン+AT搭載の「LX」が設定されました。
新車情報’88 フォード トーラスワゴン
高性能モデルを追加
その後1988年に、3.8L V6OHVの「SFIバルカン・エンジン」(最高出力140hp/最大トルク29.8kgm)が追加され、GL/LXに搭載されました。更に翌1989年には、3L V6DOHCの「SHO・エンジン」(最高出力220hp/最大トルク27.6kgm)+5速MTを搭載し、最高速度225km/h・0-60mph加速6.7sの動力性能を持つスポーツセダン「SHO」が追加されました。
そして1992年にフルモデルチェンジが実施され、2代目モデルに移行しました。尚、マーキュリー・ブランドでリリースされた「セーブル」とは、プラットフォームなど基本コンポーネンツを共有する姉妹車種の関係にありました。又、日本市場においては、1988年12月からセダンLX(3L及び3.8L)とワゴンLX(3.8Lのみ)の導入が開始されました。いずれも左ハンドル仕様のみの設定でした。
後継モデル:2代目トーラス