プジョーは2004年、2年前に発表したコンセプトカー「セザム」の市販バージョンとなる小型3ドアMPV「1007」を発売しました。4桁のモデルナンバーが付けられた初のモデルで、ボディ両側に前席用電動スライドドアが備わる点が最大の特徴でした。助手席側のみに前席用スライドドアが備わる車種として「トヨタ・ポルテ」があるものの、両側に備わる車種は1007が世界唯一でした。
新開発のプラットフォームを採用
エクステリア・デザインは社内デザインスタジオとピニンファリーナによる合作で、丸みを帯びたフロントマスクや切れ長のヘッドランプなど、同世代のプジョー車に共通する特徴を備えていました。ボディサイズは、全長3,731mm×全幅1,662mm×全高1,610mmという背の高いディメンションが特徴で、ホイールベースは一回り小さいボトムレンジモデル「107」よりも短い2,315mmでした。
駆動方式はFFで、エンジンは1.4L SOHC(最高出力74hp/最大トルク12kgm)、1.6L DOHC(最高出力108hp/最大トルク15kgm)の直4ガソリンNAと、1.4L SOHC(最高出力66hp/最大トルク15.3kgm)、1.6L SOHC(最高出力109hp/最大トルク26.5kgm)の直4ディーゼルターボが用意されました。組み合わせられるトランスミッションは、5速MTとシングルクラッチ式5速AMTが設定されました。
プラットフォームは新開発されたものが採用され、サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット式、リアがトーションビーム式でした。又、ブレーキはこのクラスとして一般的なフロント:ディスク式/リア:ドラム式が採用されました。一方、室内は4人乗り仕様で、18箇所に及ぶパーツのカラーを自由に選択出来る「カメレオキット」が設定された事が特徴でした。
日本にはガソリンAT仕様を導入
そして、大きな変更のないまま生産が続けられた後、2009年をもって生産終了となりました。後継モデルのリリースはなく、両側電動スライドドア採用車は一代限りで姿を消す事となりました。日本市場への導入は2006年3月からで、グレードはガソリン1.4Lエンジン搭載の「1.4」と同1.6Lエンジン搭載の「1.6」の2タイプが用意されました。
トランスミッションは、何れも5速AMTとの組み合わせでした。安全装備面では、両グレードにSRSデュアル&サイドエアバッグシステムやEBD&ブレーキアシスト付ABSが採用されました。又、1.6にはオートエアコンや16インチアルミホイールが装備されました。その後、2007年6月に1.4の仕様変更が実施され、新世代電装制御システムのCAN方式が採用されました。
そして2008年12月をもって販売終了となりました。尚、日本仕様のボディサイズは測定方法の違いなどから全長3,730mm×全幅1,710mm×全高1,630mmとなる為、3ナンバー登録となっていました。