プジョーは1968年9月、1960年にリリースした小型乗用車「404」の後継モデルとなる「504」を発表しました。ピニンファリーナのデザインによるスタイリングやトータルバランスの高さが評価され、同年度のヨーロッパ・カーオブザイヤーに輝いた他、世界的なベストセラーかつロングセラーカーとなりました。
4輪独立懸架を採用
当初5人乗り4ドアセダン「ベルリーヌ」のみが用意されたボディのエクステリアは、角形2灯式ヘッドランプ採用の格調高いフロントマスクや尻すぼまりのリアエンドが特徴でした。ボディサイズは全長4,490mm×全幅1,690mm×全高1,460mmで、404から全長・全幅が70mmずつ拡大されました。又、ホイールベースは90mm長い2,740mmに設定されました。
駆動方式はFRを踏襲し、エンジンは当初ガソリン1.8L直4OHVシングルキャブレター仕様(最高出力79hp/最大トルク13.7kgm)が搭載されました。トランスミッションは4速コラム式MTが組み合わせられ、最高速度156km/hの性能を発揮しました。サスペンション形式はフロントはストラット式が踏襲され、リアはそれまでのリジッド式からセミトレーリングアーム独立懸架式に変更されました。
カブリオレ/クーペを追加
又、ブレーキはそれまでの4輪ドラム式から、4輪ディスク式にアップグレードされました。そして翌1969年、ZF製3速トルコン式AT搭載車が設定されました。更に、ベルリーヌと同様ピニンファリーナのデザインによる4シーター・カブリオレと4シーター・クーペがラインナップに加わりました。両モデルはホイールベースが2,550mmに短縮された他、ボディもより短く低いディメンションになっていました。
パワートレインは1.8L電子燃料噴射仕様エンジン(最高出力94hp/最大トルク14.3kgm)と4速フロア式MTの組み合わせで、最高速度は172km/hに達しました。次いで1970年にマイナーチェンジが実施されると共に、ベルリーヌ/カブリオレ/クーペ各ボディに2L直4OHVシングルキャブレター仕様及び電子燃料噴射仕様エンジン搭載車が追加されました。
ワゴンやV6エンジン搭載車が登場
前者は、最高出力90hp/最大トルク13.6kgmのスペックでした。更にベルリーヌには、1.8L電子燃料噴射仕様エンジン及び2.1L直4ディーゼルエンジン(最高出力65hp/最大トルク12.6kgm)搭載車もラインナップされました。続いて1971年、リアサスペンションに4リンク・リジッド式を採用した5人乗り5ドアステーションワゴン「ブレーク」が追加されました。
続いて1973年、ベルリーヌにガソリン1.8Lエンジンを最高出力76hpにデチューンして搭載し、リアサスペンションを4リンク・リジッド式とした廉価グレード「L」が追加されました。次いで1974年には、カブリオレ/クーペにガソリン2.7L V6SOHCシングルキャブレター仕様エンジン(最高出力131hp/最大トルク20.7kgm)搭載車が追加されました。
続いて1977年、クーペに2.7L電子燃料噴射仕様エンジン(最高出力139hp/最大トルク21.7kgm)搭載車が加わりました。最高速度は、キャブレター仕様よりも3km/h高い189km/hに向上していました。そして後継モデル「505」がデビューした1979年には、ピックアップトラックがラインナップに加わりました。
その後、ベルリーヌなどの乗用モデルは1983年までに生産終了となったものの、ピックアップは1989年まで生産が続けられました。