1968年に「Sタイプ」「420」「240/340」に代わるモデルとして誕生したジャガーのFR4ドアサルーン「XJ」は、1986年に18年ぶりのフルモデルチェンジを受け、社内コード「XJ40」とネーミングされた新型に移行しました。プラットフォームやボディ、パワートレインなど、全てにおいて全面的なリニューアルが図られました。
当初は6気筒車のみを用意
先代同様にウィリアム・ライオンズ体制の元で手掛けられたエクステリア・デザインは、4ライトウィンドウから6ライトウィンドウに変更されたものの、基本的なプロポーションは先代のイメージが受け継がれました。ボディサイズは全長4,990mm×全幅1,830mm×全高1,310mmで、先代からそれぞれ30mm×60mm×10mm拡大されました。一方、ホイールベースは不変の2,870mmでした。
サスペンションは、フロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:ロワウィッシュボーン式の形式を受け継ぎながらも、リアには改良が施されました。エンジンは、当時ジャガーが属していたBLMC上層部からのローバー製V8ユニット搭載指令を拒絶すべく、自社製6気筒エンジンしか搭載出来ないよう敢えてエンジン・ベイが狭く設計されました。
その為、当初XJ40系に用意されたのは2.9L直6DOHC ルーカス電子燃料噴射仕様(最高出力167ps/最大トルク24.4kgm)の「XJ6 2.9」と、3.6L直6DOHCルーカス電子燃料噴射仕様(最高出力224ps/最大トルク34.3kgm)の「XJ6 3.6」の2タイプで、V12エンジン搭載車は旧型の「XJ12」が継続販売されました。又、トランスミッションは先代同様5速MT又は3速トルコン式ATとの組み合わせでした。
排気量の拡大と12気筒車の追加
その後、1989年にXJ6 3.6に代わり、3.6Lエンジンのストロークを延長した4Lエンジン(最高出力226ps/最大トルク38.4kgm)を搭載する「XJ6 4.0」が設定され、更に翌1990年にはXJ2.9に代わり、2.9Lエンジンのストロークを延長すると共に4バルブ化した3.2Lエンジン(最高出力203ps/最大トルク30.4kgm)を搭載する「XJ6 3.2」が設定されました。
それに伴い最高速度も向上し、前者は219km/hから237km/hに、後者は193km/hから217km/hになりました。その他、フロントにベンチレーテッド型を採用する4輪ディスクブレーキにABSが備わった事も、改良点のひとつでした。又、この年ジャガーはフォード傘下となり、フォード主導によるラインナップ整理政策により1992年にXJ12が生産終了となりました。
しかし、12気筒車は翌1993年3月、XJ40系にエンジン・ベイを拡大する大改修を施し、6Lに拡大されたV12エンジンを搭載する新型XJ12(XJ81系)となって復活を遂げました。エンジンのアウトプットは最高出力318ps/最大トルク47.3kgmで、最高速度は250km/hに達しました。追って同年秋には、最上級グレード「ソブリン」にホイールベースを115mm延長したLWBバージョンが追加されました。
そして1994年にビッグマイナーチェンジが実施され、X300系に移行しました。