初代モデルが1954年にデビューしたフォード・モーターの高級スペシャリティカー「サンダーバード」は、1977年に5年ぶり6度目のフルモデルチェンジを受け、通称「トリノ・バーズ」と呼ばれる7代目モデルに移行しました。ミディアムモデル「トリノ」のプラットフォームが流用され、先代からボディサイズが縮小されるとともに、エンジンの排気量も縮小されました。
シャープなスタイリングに変貌
ボディタイプは先代同様2ドアハードトップのみの設定で、スタイリングは曲線基調から直線基調のシャープなフォルムに変貌しました。また、フロントマスクは中央部がV字型に突き出したグリルが踏襲された一方、ヘッドランプは固定式から5代目前期型以来のコンシールドタイプ(格納式)に変更されました。さらに、Bピラーにはオペラウィンドウが装着されました。
ボディサイズは全長5,474mm×全幅1,994mm×全高1,346mmで、先代1976年型モデルから全長が250mm以上短縮された一方、全高は若干高められました。また、ホイールベースはトリノと共通の2,896mmで、先代からは150mm以上短縮されました。車両重量は標準モデルで1,801kgで、先代から500kg以上の軽量化を果たしました。
エンジンは4.9Lが標準に
駆動方式はFRを踏襲し、エンジンは「マスタング」と共通の4.9L V8OHV(最高出力130hp/最大トルク33.5kgm)が標準となった他、オプションで5.8L V8OHV(最高出力149hp/最大トルク40.1kgm)と6.6L V8OHV(最高出力170hp/最大トルク44.7kgm)が用意されました。なお、厳しい排出ガス規制が課せられるカリフォルニア州では5.8Lが標準でした。
トランスミッションは従来同様全車3速トルコン式ATとの組み合わせで、最高速度は標準モデルが170km/h、6.6Lエンジン搭載モデルが180km/hでした。サスペンション形式は、フロント:ウィッシュボーン/コイル式・リア:4リンク/コイル式が踏襲されました。また、ブレーキはフロントのディスクブレーキがベンチレーテッド化され、リアは従来同様のドラム式が採用されました。
装備面では、上級グレード「タウンランドウ」にはタービンスポーク・アルミホイール、エアコン、パワーウィンドウ、パワーシートなどが標準装備されました。そして翌1978年に、フォード創立75周年を記念するパッケージオプション「ダイヤモンド・ジュビリー・エディション」が設定されました。
次いで1979年にフェイスリフトが実施され、フロントグリルやテールランプの意匠が変更されるとともに、ダイヤモンド・ジュビリー・エディションと同等の内容を持つパッケージオプション「ヘリテイジ」が設定されました。そして1980年にフルモデルチェンジが実施され、通称「ボックス・バーズ」と呼ばれる8代目モデルに移行しました。
先代モデル:6代目サンダーバード
後継モデル:8代目サンダーバード