初代モデルが1974年にデビューしたいすゞ自動車の小型乗用車「ジェミニ」は、1990年3月におよそ5年ぶり2度のフルモデルチェンジを受け、3代目モデルに移行しました。フルタイム4WD車の設定など新機軸が取り入れられたものの販売は振るわず、結果として同社によるオリジナル設計が行われた乗用車としては最後のモデルとなりました。
社内デザインに変更
ボディタイプは、当初先代に用意されていた3ドアハッチバックの設定がなくなり、4ドアセダンのみでのスタートとなりました。エクステリア・デザインは、ジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタルデザインに委託された先代と異なり、社内スタッフにより行われました。そのスタイリングは、直線基調のフォルムが踏襲された一方で、欧州車調の雰囲気は薄められました。
ボディ・ディメンションは全長4,195mm×全幅1,680mm×全高1,390mm、ホイールベース2,450mmで、先代から全ての項目において拡大されました。サスペンション形式は、フロントはマクファーソンストラット式を踏襲し、リアは同社独自のコンパウンドクランク式からフロントと同じマクファーソンストラット式に変更されました。
駆動方式は当初は先代同様FFのみの設定で、エンジンはガソリンは先代から1.5L直4SOHC NA(最高出力100ps/最大トルク13.3kgm)と1.6L直4DOHC NA(最高出力140ps/最大トルク14.5kgm)がキャリオーバーされ、ディーゼルは従来の1.5L直4SOHC NA/ターボから1.7L直4SOHCターボ(最高出力88ps/最大トルク17kgm)に変更されました。
4輪ディスクブレーキを採用
組み合わせられるトランスミッションは5速MTまたは4速トルコン式ATで、先代に設定のあった乾式電子制御5速AT「NAVi5」は廃止されました。ステアリング形式はラック&ピニオン式が踏襲されたほか、全車にパワーアシストが標準化されました。また、ブレーキは全車フロントがベンチテーテッド型の4輪ディスク式にアップデートされました。
当初のグレード体系は、下から1.5L/1.7Lエンジン搭載の「C/C」「C/C-L」「C/C-X」と、1.6Lエンジン搭載の「ZZハンドリングバイロータス」がラインナップされました。その後1990年5月に、新グレードとして1.6L NAエンジン搭載FF方式の「イルムシャー」と、同ターボエンジン(最高出力180ps/最大トルク21.2kgm)搭載フルタイム4WD方式の「イルムシャー・R」が追加されました。
追って1990年9月には、3ドアクーペが追加されました。グレード体系は、1.6L NAエンジン搭載の「OZ」「OZ-G」と1.6Lターボエンジン搭載の「イルムシャー・R」のラインナップでした。さらに翌1991年3月、3ドアハッチバックが復活しました。グレード体系は、当初は1.5L/1.6L NAエンジン搭載のOZ/OZ-Gのラインナップだったものの、同年5月にイルムシャー・Rが追加されました。
そして1993年8月実施のフルモデルチェンジにより、「ホンダ・ドマーニ」のOEM車となった4代目モデルにバトンタッチされました。
先代モデル:2代目ジェミニ