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フォルクスワーゲン カルマンギア (1955-1975):タイプⅠをベースとしたスペシャリティカー

フォルクスワーゲン カルマンギア Coupe (1955 Typ 14)

フォルクスワーゲンは1955年、大衆車「タイプⅠ(ビートル)」のコンポーネンツを流用した2ドア・2+2シーター仕様のスペシャリティカー「カルマンギア」を発売しました。性能は凡庸であったものの、スタイリッシュなフォルムや信頼性の高さ、低廉な価格などにより好評を博し、ヨーロッパやアメリカにおいて商業的な成功を収めました。

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デザインはギアが担当

フォルクスワーゲン カルマンギア Coupe (1955 Typ 14)

エクステリア・デザインはイタリアのデザイン会社、カロッツェリア・ギアに、生産は西ドイツ(当時)のコーチビルダー、カルマン社に委ねられました。ボディタイプは、当初はフィクスドヘッドのクーペのみが用意されました。ほぼフラッシュサイド・フルワイズ化された流麗なスタイリングは、独立した前後フェンダーを持っていたクラシカルなタイプⅠとは好対照でした。

フォルクスワーゲン カルマンギア Convertible (1957 Typ 14)

ボディサイズは全長4,140mm×全幅1,634mm×全高1,330mmで、タイプⅠと比較すると長く広く、そして低いプロポーションとなっていました。車両重量は820kgで、タイプⅠよりも80kgほど重くなっていました。ホイールベースはタイプⅠと同一の2,400mmで、フロント:トレーリングアーム/トーションバー式、リア:スウィングアーム/トーションバー式のサスペンション形式も共通でした。

フォルクスワーゲン カルマンギア Convertible (1957 Typ 14)

駆動方式はRRを踏襲し、エンジンもタイプⅠ同様の空冷1.2Lフラット4OHVソレックス・シングルキャブレター仕様が搭載されました。特にチューニングは施されておらず、最高出力30hp/最大トルク7.7kgmのスペックに変更はありませんでした。トランスミッションも同様に4速MTが組み合わせられ、最高速度116km/hの性能でした。

フォルクスワーゲン カルマンギア Convertible (1957 Typ 14)

ステアリング形式はタイプⅠ同様のウォーム&ナット式で、4輪ドラム式のブレーキや4J×15インチホイール+5.60-15タイヤの足回りもタイプⅠと共通でした。その後1957年に、ソフトトップが備わる2ドア・コンバーチブルが追加されました。次いで1959年にフェイスリフトが実施され、フロントグリルおよびテールランプの意匠や、ヘッドランプの取付位置が変更されました。

「タイプⅢ」ベースの派生モデルが登場

フォルクスワーゲン カルマンギア Coupe (1957 Typ 34)

続いて1962年、「タイプⅢ」をベースとした「1500クーペ」が追加されました。エクステリアはそれまでのタイプⅠ系とはまったく異なっており、直線基調のアクの強いデザインが採用されました。搭載されるフラット4エンジンは文字通り1.5Lまで拡大されており、最高出力44hp/最大トルク10.2kgmのアウトプットを発生しました。

フォルクスワーゲン カルマンギア Coupe (1957 Typ 34)

次いで1965年、エンジンがタイプⅠ系は1.3L(最高出力39hp/最大トルク9.4kgm)に、タイプⅢ系は1.6L(最高出力50hp/最大トルク10.8kgm)にそれぞれ置換されました。追って翌1966年には、電装系が6Vから12Vに変更されるとともに、タイプⅠ系のエンジンが1.5Lに拡大されました。次いで1969年、タイプⅠ系に2度目のフィエスリフトが実施され、フロントウィンカーやテールランプの意匠が変更されました。

フォルクスワーゲン カルマンギア TC (1957 Typ 145)

同時に、エンジンが1.6Lに置換されました。一方、販売が振るわなかったタイプⅢ系は、この年を最後に生産終了となりました。続いて1970年、ブラジルの現地法人であるフォルクスワーゲン・ド・ブラジルのオリジナルモデルとして、ファストバックの専用ボディを持つ「TC」が発売されました。そして1973年に本家のタイプⅠ系が生産を終了、TCも1975年に生産終了となりました。

後継モデルとしての役割は、1974年に発売された「シロッコ」が担うこととなりました。

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