アウディAGは1994年、小型乗用車の4代目「100」(C4系)にマイナーチェンジを施し、車名を「A6/A6アバント」に変更するとともに、100のハイパフォーマンス版であった「S4/S4アバント」に代わるモデルとして、「S6/S6アバント」をリリースしました。基本設計はS4/S4アバントから大きな変更はなく、リファイン箇所は一部に留められました。
エンジンは先代譲り
ボディタイプはS6が4ドアセダン、S6アバントが5ドアステーションワゴンで、スタイリングはフロントまわりの意匠などが変更されたことをのぞき、基本的にS4/S4アバントと共通でした。空力特性の指標となるCd値はS6が0.34、S6アバントが0.35で、S4/S4アバントよりも若干高い数値となっていました。
ボディ・ディメンションは全長4,797mm×全幅1,804mm×全高1,430mm(S4)/1,440mm(S4アバント)、ホイールベース2,692mmで、S4/S4アバントと実質的に同等でした。また、A6/A6アバントに対してはワイド&ローなディメンションとなっていました。サスペンション形式は、フロントはS4/S4アバント同様のマクファーソンストラット式を踏襲し、リアはトレーリングアーム式からトラペゾイダル式に変更されました。
駆動方式は従来同様フルタイム4WDシステム「クワトロ」のみの設定で、エンジンも同様に2.2L直5DOHC20バルブターボと4.2L V8DOHC32バルブNAの2種類が用意されました。スペックは、前者は従来と同一の最高出力230ps/5,900rpm・最大トルク35.7kgm/1,950rpmで、後者は最高出力が10psアップの最高出力290ps/5,800rpm・最大トルク40.8kgm/4,000rpmでした。
パフォーマンスも先代と同等
トランスミッションは、2.2Lターボには5速/6速MTと4速トルコン式ATが、4.2Lには6速MTと4速トルコン式ATが設定されました。6速MT仕様のパフォーマンスは、S6 2.2Lターボ仕様が最高速度241km/h・0-100km/h加速6.7s、同4.2L仕様が最高速度249km/h・0-100km/h加速5.9s、S6アバント 2.2Lターボ仕様が最高速度235km/h・0-100km/h加速6.8s、同4.2L仕様が最高速度247km/h・0-100km/h加速6sとなっていました。
これらの数値は、S4/S4アバントとの比較において実質的に同等でした。一方、4輪ディスク式を踏襲するブレーキは、フロントに加えリアにもベンチレーテッド型が採用されました。また、ホイールおよびタイヤサイズは、従来は4.2L車の方がワイドかつ大径であったのに対し、全車7.5J×16インチホイール+225/50R16タイヤの組み合わせに統一されました。
そして1996年に生産を終了、2代目モデルが登場するのはそれから4年が経過した2000年のことでした。日本市場においては、1994年11月に2.2Lエンジン+4速AT仕様のセダン「S6」のみ上陸を果たしました。グレードは「クワトロ」のモノグレード設定で、左ハンドル仕様のみが用意されました。