アウディAGは2002年に開催されたジュネーブ・モーターショーにおいて、Eセグメントの乗用車「A6」をベースとしたRSモデル、「RS6」を発表しました。すでに高性能版としてラインナップされていた「S6」をも上回るパフォーマンスを追求したモデルで、より強力なエンジンや独自の足回りが採用されました。
V8ツインターボエンジンを搭載
ボディタイプは、4ドアセダンと「アバント」と呼ばれる5ドアステーションワゴンが用意されました。エクステリア・デザインは、これ見よがしな大袈裟なモディファイは施されず、フロントグリルの意匠変更や大型エアインテークの採用程度の差別化に留められていました。また、空力特性の指標となるCd値はセダンが0.34、アバントが0.35でした。
ボディ・ディメンションは全長4,852~4,858mm×全幅1,850mm×全高1,387~1,430mm、ホイールベース2,759mmで、A6/S6に対しわずかに長く低いプロポーションとなっていました。駆動方式はS6同様フルタイム4WD「クワトロ・システム」のみの設定で、エンジンはS6に搭載される4.2L V8DOHC40バルブ仕様をベースにツインターボ化したものが採用されました。
スペックは最高出力450ps/5,700-6,400pm・最大トルク57.1kgm/1,950-5,600rpmで、S6から100ps/14.3kgmの向上を果たしていました。トランスミッションはマニュアルモード付5速トルコン式AT「ティプトロニック」のみの設定で、パフォーマンスは最高速度こそリミッターの作動によりS6と同一の250km/hとなるものの、0-100km/h加速タイムは1.8s短い4.9sとなっていました。
足回りに独自の「DRC」を採用
サスペンションは形式は、A6/S6と共通のフロント:4リンク式/リア:ダブルウィッシュボーン式ながら、専用チューニングが施されるとともに、対角線上のダンパーを連結制御して前後左右の揺れを軽減する「DRC(ダイナミック・ライド・コントロール)」が採用されました。ブレーキは前後ともベンチレーテッド・ディスク式で、タイヤはワイドかつ大径の255/35R19サイズが装着されました。
安全装備面では、SRSデュアル&サイド&ヘッドレベルエアバッグシステムやEB付ABS、ESPなどが採用されました。また、快適装備としてDVDナビゲーション付マルチメディアステーションやBOSEサウンドシステムなどが標準装備されました。初代RS6/RS6アバントの生産は2004年をもって打ち切られ、それから4年後の2008年にC6系A6をベースとした2代目モデルがリリースされました。
日本市場においては、2003年2月にセダンとアバントが同時に初上陸しました。その後2004年7月に、アバントをベースに専用の内外装を与えた特別仕様車「プラス」がリリースされました。