マツダのスペシャリティカー「コスモ」は、1990年4月にフルモデルチェンジを実施し、同時に車名が販売系列店「ユーノス」を冠名とした「ユーノス コスモ」へと変更されました。世界初の3ローター式ロータリーエンジン搭載グレードを用意するなど、先代から大幅な性能向上が図られました。
グラマラスなクーペボディに集約
ボディ形状は2ドアクーペのみが用意され、先代が発売当初は4ドア系も用意するなど複数のボディ・バリエーションを持っていたのとは対照的でした。ボディサイズは全長4,815mm×全幅1,795mm×全高1,305mmで、先代よりも全長と全幅が一回り以上拡大された一方、全高は逆に低くなり、より高速走行に適したディメンションとなりました。
ホイールベースは先代比で135mm長い2,750mmに設定され、グランツーリスモ的な性格が強いものとなりました。車両重量は、先代よりも300kg~400kg以上重い1,490kg~1,640kgとなりました。スタイリングは、直線を基調とした伸びやかなロングノーズ・ショートデッキのプロポーションを持ち、ボディ後部は緩やかな角度の付けられたノッチバックでした。
ユーノス コスモのCM
ユーノス コスモのビデオカタログ
量産車初の3ローターのRE搭載
パワートレインは先代から一新され、ロータリーエンジンに一本化されました。用意されたのは、13B-T型の改良版である2ローター・ターボの13B-REW型(総排気量1,304cc)と、3ローター・ターボの20B-REW型(総排気量1,962cc)の2種類でした。最高出力と最大トルクは、それぞれ230ps/30kgm、280ps/41kgmで、共に先代に搭載された13B-T型よりも大幅なパワーアップを実現していました。
20B-REW型に関しては、設計上更に出力を上げる事が可能であったものの、通産省の規制により280psに抑えざるを得なかった経緯がありました。一方、こうした優れた性能を持つ反面、カタログ燃費は前者が6.9km/L、後者が6.1km/Lと劣悪で、実燃費はその半分程度まで落ち込む事も珍しくないなど、燃費性能はコスモのウィークポイントとなりました。
トランスミッションは、両エンジンとも4速トルコン式ATのみが用意され、駆動方式は初代コスモスポーツ以来受け継がれるFRでした。サスペンション形式は先代から刷新され、前ダブルウィッシュボーン式/後マルチリンク式となりました。装備面では、世界初となるGPSカーナビゲーションシステムを搭載したグレードを用意した事が最大の特徴でした。
1991年9月には、ルマン総合優勝を記念して、ハードチューンサスペンションやトルセンLSD、BBS製アルミホイールなどを装備した特別限定モデル「タイプSX」が発売されました。その後、バブル崩壊に伴うスペシャリティカー市場の縮小に伴い販売が低迷した為、1996年6月を持って後継モデルの登場もないまま生産を終了しました。
ユーノスコスモは、走行性能と豪華装備を追求したバブル景気の申し子のような稀有なスペシャリティ・クーペでした。
先代モデル:3代目コスモ
歴代コスモ