トヨタの小型車「カローラセレス」と「スプリンターマリノ」は、7代目カローラ&スプリンターシリーズの派生モデルとして、1992年5月に同時発売されました。ボディタイプは当時の流行を追った4ドアハードトップで、居住性よりもスタイリング優先の設計思想でした。人気の面では次第に下降傾向となり、後継モデルが登場する事もなく1代限りのモデルとなりました。
背の低いディメンションが特徴
センターピラーレスボディを採用したそのスタイリングは、共に背の低い流麗なフォルムを備えていました。両者の相違点はフロントマスクの意匠など一部で、基本的に同一のデザインでした。ボディサイズは全長4,265mm(カローラセレス)/4,285mm(スプリンターマリノ)×全幅1,695mm×全高1,315mmで、ベースモデルのカローラ/スプリンター・セダンよりも全高が65mm低く設定されていました。
ホイールベースはカローラ/スプリンターと共通の2,465mmで、車両重量はボディの構造上やや重い1,020~1,130kgでした。サスペンション形式は4輪ストラット式を踏襲し、駆動方式はFFのみで4WDは設定されませんでした。エンジンは、1.5L直4ハイメカツインカムの5A-FE型、1.6L直4ハイメカツインカムの4A-FE型、同スポーツツインカムの4A-GE型がラインナップされました。
マルチインフォメーションディスプレイを採用
スペックは、5A-FE型が最高出力105ps/最大トルク13.8kgm、4A-FE型が最高出力115ps/最大トルク15kgm、4A-GE型が最高出力160ps/最大トルク16.5kgmで、トランスミッションはそれぞれに5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。装備面では、全車にシステム異常を警告するマルチインフォメーションディスプレイが採用された事が大きな特徴でした。
グレード体系は両者共通で、1.5Lの「Fタイプ」、1.6Lハイメカツインカムの「Xタイプ」、同スポーツツインカムの「Gタイプ」の他、それぞれに上級グレードとして「エクストラパッケージ」が設定されました。そして1993年5月に両モデル共に一部改良が行われ、オゾン層保護対策としてエアコンに新冷媒が採用された他、ボディカラーに新色が追加されました。
次いで1994年5月に両モデル共にマイナーチェンジを実施し、外装の一部が変更されると共に、全車にハイマウントストップランプが装備されました。続いて1995年5月に、カローラ/スプリンターが8代目モデルに移行した事に伴い一部改良が行われました。両モデル共にパワートレインやシャシーなどが新世代の物に変更され、スペック面では車両重量が20kg軽量化されました。
カローラセレスのCM
又、エンジンのスペックも若干変更され、5A-FE型が最高出力100ps/最大トルク14kgmに、4A-GE型が最高出力165psになりました。次いで翌1996年5月にも一部改良が行われ、両モデルの全車に運転席SRSエアバッグシステムとABSが標準化されました。更に1997年4月の一部改良では、両モデルの「Gタイプ」のMT車が6速化されました。そして1998年6月に、両モデル共に生産終了となりました。