ランボルギーニは、1979年に生産終了となった「シルエット」に代わるエントリーモデルとして、1981年3月に開催されたジュネーブショーにおいて新たなミッドシップ2シータースポーツカー「ジャルパ」を発表しました。プラットフォームや基本的なメカニズムをシルエットから受け継ぎながら、内外装に変更が加えられた他、パワートレインも改良されました。
ベルトーネの手によりリデザイン
モノコック式の車体構造や4輪ストラット式のサスペンション形式、4輪ベンチレーテッドディスクブレーキといった基幹部分は、シルエットからそのまま踏襲されました。その一方で、タイヤはフロントが195/50VR15、リアが285/40VR15と前後で極端に異なるサイズだったシルエットに対し、フロントが205/55VR16、リアが225/50VR15という一般的なサイズに変更されました。
ボディはベルトーネの手によりリデザインが施され、デチャッタブルトップの継承を含めシルエットの基本フォルムを守りながら、前後バンパーやフロントスポイラー、エンジンフードやエアインテークの形状などが変更されました。同時に、アルミホイールの意匠が前年に発表されたベルトーネのコンセプトモデル「アトン」のそれに類似したものに変更された事と相まって、イメージのリフレッシュに成功しました。
エンジンを3.5Lに拡大
ボディサイズは全長4,330mm×全幅1,850mm×全高1,140mmで、シルエットからそれぞれ10mm×50mm×20mm拡大されました。ホイールベースは同一の2,450mmで、車両重量は300kg程増加し1,510kgとなりました。従来通りミッドにマウントされるエンジンは、シルエット用の3L V8DOHCユニットをベースにロングストローク化を図り、排気量を3.5Lまで拡大したものでした。
圧縮比は3L時代の10.0:1から9.2:1に下げられ、スペックは最高出力が5hpダウンの255hp/7,000rpm、最大トルクが5kgmアップの32kgm/3,500rpmとなりました。トランスミッションは従来通り5速MTが組み合わせられ、最高速度248km/hの性能でした。一方インテリアは、シルエットからインパネのデザインが一新され、角張った形状のメーターナセルとセンタークラスターが採用されました。
又、ステアリングがコーンの深いタイプから平板なタイプに変更された他、バックレスト固定式だったシートは、リクライニング式に改められました。ジャルパは、1989年までの8年間に渡り生産されたものの、販売面では振るわず、総生産台数は僅か179台に留まりました。これはシルエットの54台よりは多かったものの、その前身であったウラッコの791台よりも遥かに少ない台数でした。尚、直接的な後継モデルは開発されませんでした。