ランボルギーニは、1968年3月にデビューしたグランツーリスモ「イスレロ」の後継モデルとして、2年後の1970年3月に開催されたジュネーブモーターショーで同じく2+2仕様の「ハラマ」を発表しました。基本設計が旧式だったイスレロからボディの構造やディメンションが一新された他、モダンなスタイリングを纏った新世代のグランツーリスモでした。
セミモノコック構造を採用
車体構造は、イスレロが同社のデビュー作「350GT」以来受け継がれてきたマルチ・チューブラ・フレームを採用するのに対し、より近代的なセミモノコック構造が採用されました。一方、サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーン式が踏襲された他、ブレーキもガーリング製4輪ディスクブレーキが受け継がれました。ボディのデザインを手掛けたのは、「ミウラ」と同様ガンディーニでした。
直線を基調としたシャープなボディラインや、FR方式を踏襲しながらも短縮されたノーズ、セミリトラクタブル式のヘッドランプ、ファーストバックのプロポーションなどを採用した事で、イスレロ以前のFRモデルとはイメージが大幅に変わりました。ボディサイズは全長4,485mm×全幅1,820mm×全高1,190mmで、イスレロから全長が40mm短縮され全高は110mm低くなった一方、全幅は90mmワイド化されました。
ランボルギーニ ハラマの走行シーン
ホイールベース短縮によりハンドリングが向上
又、ホイールベースは170mmも短縮され、2,380mmとなりました。車両重量は1,540kgで、イスレロから200kg以上増加しました。フロントに搭載されるエンジンは「イスレロS」譲りの4L V12DOHCで、同じく10.5:1の圧縮比から350hp/7,500rpmの最高出力と40kgm/5,500rpmの最大トルクを発生しました。これもイスレロから受け継がれた自社製の5速MTを介しての最高速度は、同一の260km/hでした。
ハラマはショートホイールベースがもたらす俊敏なハンドリングが持ち味だったものの、車両重量の重さにより加速性能が低下した事と、エンジンルームの冷却に問題があった為室温が高くなる事が難点でした。そうした欠点の解決策として、1972年のジュネーブショーでハイパフォーマンス化と共にエンジンルームの冷却能力を改善した「ハラマGTS」が発表されました。
後期型で欠点を改善
エンジンの圧縮比を10.7:1に高め、最高出力が365hp/7,500rpmに向上した他、フロントフード上にエアインテークが追加されると共にフロントフェンダー後部にエアアウトレットが設けられました。同時にエアコンの装着が可能になった為、室温上昇の問題は大幅に改善されました。更に、ディスクブレーキが4輪ともベンチレーテッド型にアップグレードされた他、3速トルコン式ATが選べるようになりました。
又、タルガトップが設定された事や、北米向けモデルに5マイルバンパーが装着された事も従来型からの変更点でした。ハラマは、その後大きな仕様変更もなく1976年まで生産が継続されたものの、人気面では振るわず総生産台数は328台に留まりました。