日産は1990年1月、大衆車「サニー」を7代目モデル(B13型)にフルモデルチェンジすると同時に、それをベースとした新型3ドアハッチバッククーペ「NXクーペ」を発売しました。前年12月に生産終了となった、B12型サニーセダンがベースの「サニーRZ-1」の実質的な後継モデルで、北米市場の女性ユーザーがメインターゲットとなった為スタイリングが大きく変更されました。
カリフォルニア発のデザインを採用
ボディのデザインはカリフォルニアにある日産デザインインターナショナルにより手掛けられ、直線基調のシャープなボディラインが特徴だったサニーRZ-1とは対照的に、4代目「フェアレディZ」(Z32型)をモチーフとした曲線基調の流麗なボディラインが採用されました。又、北米向けモデル「エクサ」で人気を博した、ルーフのセンター部分を残しその両側の着脱が可能な「Tバールーフ」が設定された事もセリングポイントとなりました。
ボディサイズは全長4,140mm×全幅1,680mm×全高1,310mmで、サニーRZ-1よりも90mm短く15mm広く、そして15mm低いディメンションとなりました。ホイールベースは同一の2,430mmで、車両重量は若干増加し970~1,150kgとなりました。サスペンション形式はサニーRZ-1同様の4輪ストラット式を踏襲し、駆動方式も同様にFFのみの設定でした。
日産 NXクーペのCM
新車情報’90 日産 NXクーペ
3種類のエンジンを用意
エンジンは全車直4DOHC NA仕様で、1.5L電子制御キャブレター仕様のGA15DS型(最高出力94ps/最大トルク12.8kgm)、1.6L EGI(電子制御燃料噴射)仕様のGA16DE型(最高出力110ps/最大トルク15kgm)、1.8L EGI仕様のSR18DE型(最高出力140ps/最大トルク17kgm)の3種類が用意されました。トランスミッションは、それぞれに5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。
ブレーキは1.5L 車がフロント:ディスク式/リア:ドラム式、1.6L車がフロント:ベンチレーテッドディスク式/リア:ドラム式、1.8L車がフロント:ベンチレーテッドディスク式/リア:ディスク式でした。発売当初のグレード体系は、1.5L車には標準グレード「タイプA」と上級グレード「タイプB」が、1.6L車は「タイプB」のみが、1.8L車にはスポーティグレードとなる「タイプS」のみがそれぞれ設定されました。
又、「タイプB」と「タイプS」には前述のTバールーフ仕様が設定されました。一方インテリアは、「タイプA」「タイプB」にデジタルメーターが採用されるなど斬新さが付加されていました。そして1992年1月にマイナーチェンジを実施し、サイドドアビームやシートベルト警報、衝撃吸収パッドが標準装備された他、運転席SRSエアバッグシステムがオプション設定されました。
エクステリア面ではサイドガードモールがボディ同色に変更された他、1.6L車にも「タイプS」が設定されました。そして1993年12月にベースモデルのサニーがフルモデルチェンジによりB14型に移行した事に伴い、翌1994年1月に生産を終了、後継モデル「ルキノクーペ」にバトンが渡されました。