トヨタ自動車は1982年8月、トヨタオート店より新型ステーションワゴン「スプリンターカリブ」を発売しました。スプリンターの冠名を持つもののスプリンターセダンなどとは基本設計が異なり、2代目ターセル/コルサがベースでした。ステーションワゴンながら全車4WD方式を採用したクロスオーバーテイストのモデルで、当時としては異色の存在でした。
個性的なスタイリング
5ドアハッチバックのボディは直線と平面主体で構成されたボクシーなフォルムを持つ他、「4WD」のエンブレムが入ったフロントグリルやベルトラインより一段下がったリアクォーターウィンドウ、左右非対称のテールゲートなど、個性的なスタイリングを備えていました。ボディサイズは全長4,175~4,310mm×全幅1,615mm×全高1,500mmで、ステーションワゴンとしては背の高いプロポーションが特徴でした。
ホイールベースはターセル/コルサと共通の2,430mmで、車両重量は初期型で970~1,015kgでした。サスペション形式はフロントがターセル/コルサ同様のストラット式で、リアはそれとは異なりトレーリングリンク車軸式が採用されていました。パワートレインは当初、ターセル/コルサ譲りの1.5L直4SOHCの3A-U型エンジン(最高出力83ps/最大トルク12kgm)とエクストラロー付き5速MTの組み合わせのみが用意されました。
トヨタ スプリンターカリブのCM
室内は水平基調のインパネを持つ他、広いグラスエリアと高いヒップポイントによる視界の良さや、多彩なシートアレンジを特徴としました。グレード体系は、当初標準グレード「AV-Ⅰ」と上級グレード「AV-Ⅱ」の2タイプがラインナップされ、後者には大型ウレタンバンパー、ワイド&扁平ラジアルタイヤ、8ウェイスポーツシート、パワーステアリング、タコメーター&クライノメーターなどが装備されました。
AT車やツインキャブ車を追加
そして1983年10月に3速トルコン式AT仕様が追加されると共に、AV-ⅠとAV-Ⅱの間を埋める新グレード「RVスペシャル」が設定されました。次いで1984年8月にマイナーチェンジが実施され、3A-U型エンジンの最高出力が85psに向上すると共に、AV-ⅡのMT車のエンジンがツインキャブレター仕様の3A-SU型(最高出力90ps)に置換されました。
トヨタ スプリンターカリブのCM
続いて1986年5月に2度目のマイナーチェンジが実施され、エクステリアの一部変更と共にAV-Ⅱに電子制御サスペンション「TEMS」が採用されました。そして1988年2月にフルモデルチェンジが実施され、2代目AE95G型に移行しました。初代スプリンターカリブは、所謂「生活4駆」としては「スバル・レオーネ」に次ぐ存在で、北米市場でも「ターセルワゴン」の車名で販売されました。