フィアットは1995年2月、1988年に生産を終了した「X1/9」以来となる2シーター・オープンスポーツカー「バルケッタ」をリリースしました。マツダのライトウエイトスポーツカー「ユーノス・ロードスター」の世界的なヒットに触発されて開発されたモデルで、プラットフォームはコンパクトカー「プント」用のそれを改造した上で流用、駆動方式も横置きFF方式が踏襲されました。
ユーノス・ロードスターに近いディメンション
社内チームによりデザインされボディは、小舟をモチーフとしたスタイリングを持ち、生産はカロッツェリア・マッジョーラが担当しました。ボディサイズは全長3,916mm×全幅1,640mm×全高1,265mm、ホイールベースはベースモデルのプントより175mm短い2,275mmで、何れもライバルと想定していたユーノス・ロードスターに近いディメンションでした。
一方、車両重量はユーノス・ロードスターよりも大人一人分程重い1,060kgでした。サスペンション形式は、プントと共通のフロント:ストラット式/リア:トレーリングアームが踏襲され、ブレーキはフロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式が採用されました。エンジンは新開発の1.8L直4DOHC16V NAで、最高出力131ps/6,300rpm・最大トルク16.7kgm/4,300rpmのスペックでした。
トランスミッションは5速MTが組み合わせられ、ユーノス・ロードスターを凌ぐ最高速度200km/h・0-100km/h加速8.9sの動力性能を発揮しました。又、安全装備面ではABSやSRSデュアルエアバッグシステムなどが採用されました。その後、大きな仕様変更もなく生産が継続された後、2002年に一旦生産終了となりました。
2004年にリニューアル版となって復活
しかし、それから2年後の2004年に、リニューアル版「ニューバルケッタ」となって復活を遂げました。基本設計やパワートレインに変更はなかったものの、フロントマスクやリアバンパーの意匠が変更された他、ホイールがスチール製15インチからアルミ製16インチに変更されました。同時に、タイヤサイズも195/55R15から195/45R16へとインチアップされました。
こうして復活を果たしたものの、翌2005年に早くも生産を終了、再び同社のラインナップから2シーター・オープンスポーツカーが姿を消す事となりました。日本市場におけるバルケッタは、1996年1月に初上陸を果たし、同年10月にアルミホイールやフルオートエアコン、本革シートなどが備わる「リミテッドエディション」が追加されました。
次いで2000年9月には、ベースグレードに「ジョーヴァネドゥーエ」のグレード名が与えられました。そして2003年1月に販売終了となった後、2004年7月にニューバルケッタの導入が開始され、在庫分が底をつく2007年9月までラインナップに名を連ねていました。