フォルクスワーゲングループは1998年に「ブガッティ・オトモビル」を設立し、3年ぶりとなるブガッティ・ブランドの復興を成し遂げた後、翌1999年の東京モーターショーにおいて、将来的な市販化を前提とした2ドアクーペ型のコンセプトモデル「B18/4ヴェイロン」を出展しました。そして6年の歳月を経た2005年の東京モーターショーにおいて、量販モデル「ヴェイロン16.4」が初披露されました。
最高出力1000馬力オーバーのエンジンを搭載
ボディタイプはコンセプトモデル同様フィクスドヘッドの2ドアクーペで、スタイリングは若干手を加えられたものの、基本的なイメージは踏襲されました。Cd値は0.355で、空力特性の面では際立って優秀とはいえない水準にありました。ボディサイズは全長4,462mm×全幅1,998mm×全高1,204mm、ホイールベースは2,710mmで、コンセプトモデルから全長が若干延長されました。
又、車両重量は1,888kgでした。サスペンション形式は4輪ダブルウィッシュボーン式が採用され、タイヤはミシュランPAXシステム(セルフリペアリング機能)採用のランフラットタイプが装着されました。駆動方式はフルタイム4WDで、ミッドシップマウントされるエンジンは、プロトタイプのW18気筒6.3L DOHC NA仕様からW16気筒8L DOHCクアドラブル(4連)ターボ仕様に変更されました。
アウトプットは、プロトタイプの最高出力555ps/6,800rpm・最大トルク66.3kgm/4,000rpmに対し、最高出力1001ps/6,000rpm・最大トルク127.6kgm/2,200-5,500rpmへと大幅な向上が図られました。デュアルクラッチ式の7速DSGを介しての動力性能は、最高速度407km/h・0-100km/h加速2.5sという市販車として世界最高水準のものでした。
又、4輪ベンチレーテッドディスク式のブレーキは、動力性能に相応しい制動力を発揮させるべく、フロントに400mm径のディスクローターと8ポッドキャリパーが、リアに380mm径のディスクローターと6ポッドキャリパーが採用されました。その他の機構面では、最低地上高とリアウイングの高さを3段階に調整する事が可能でした。
オープンモデルや更なる高性能モデルを追加
生産台数を300台に限定した上で翌2006年6月からデリバリーが開始され、日本国内においても16,300万円という価格で発売されました。そして2008年8月には、ポリカーボネート製のデタッチャブルトップが備わるタルガトップ風モデル「16.4グランスポーツ」が発表され、翌2009年から150台限定でデリバリーが開始されました。
車両重量はクーペから80kg増加し、最高速度こそ同一であったものの、0-100km/h加速タイムは0.2s遅くなりました。更に2010年8月、エンジンのアウトプットを最高出力1200ps/6,400rpm・最大トルク153kgm/3,000-5,000rpmまで高めると共に、足回りの強化やエアロパーツの改善を図った「16.4スーパースポーツ」が発表されました。
車両重量がベースモデルから50kg軽量化されると共に、Cd値も0.348へと僅かながら改善され、最高速度は415km/hに向上しました(0-100km/h加速タイムは同一)。追って翌2011年3月、グランスポーツのボディにスーパースポーツのエンジンを搭載した「グランスポーツ・ヴェイテッセ」が発表されました。車両重量はグランスポーツより22kg重く、最高速度410km/h・0-100km/h加速2.6sの性能でした。
そして2015年をもって全モデルが予定生産台数に達した為、販売終了となりました。尚、後継車種として、2016年3月のジュネーブショーで最高速度420km/hの性能を持つ「シロン」が発表されました。