BMWは2002年に開催されたパリ・サロンにおいて、1996年にリリースされた「Z3」の後継モデルとなる新型2シーター・スポーツカー「Z4」を発表しました。ボディサイズの拡大により車格がワンランク上がるとともに、スタイリングも一新されました。当初はオープンボディのロードスターのみのラインナップだったものの、後にフィクスドヘッドボディのクーペが追加されました。
エクステリア・デザインはアメリカ人デザイナーが担当
エクステリア・デザインはアメリカ人デザイナーにより手掛けられ、日本人デザイナーの手によるZ3よりも彫刻的かつバタ臭い雰囲気を漂わせるスタイリングに変貌しました。ロードスターにはソフトトップが備わり、開閉方法はグレードにより手動式または電動式となっていました。ボディサイズは全長4,091mm×全幅1,781mm×全高1,299mmで、全項目においてZ3から拡大されました。
また、ホイールベースも50mm延長され2,495mmとなりました。駆動方式は同社伝統のFRが踏襲され、エンジンは当初、2.2L直6DOHC(最高出力170ps/最大トルク21.4kgm)、2.5L直6DOHC(最高出力192ps/最大トルク25kgm)、3L直6DOHC(最高出力231ps/最大トルク30.6kgm)の3種類が用意されました。
トランスミッションは、2.2L/2.5Lには5速MT/5速トルコン式ATが、3Lには6速MT/5速トルコン式AT/6速SMG(2ペダルMT)が設定されました。サスペンション形式は、フロントはZ3同様のシングルジョイントスプリング・ストラット式を踏襲し、リアはセミトレーリングアーム式からセントラルアーム式に変更されました。
BMW初の電動パワステを採用
ブレーキは、フロントは全車ベンチレーテッド・ディスク式で、リアは2.2L/2.5Lにはソリッド・ディスク式が、3Lにはベンチレーテッド・ディスク式が採用されました。また、ラック&ピニオン式の形式を踏襲するステアリングのパワーアシストには、同社初の電動式が採用されました。
その後2005年に、2L直4DOHCエンジン(最高出力150ps/最大トルク20.4kgm)搭載車が追加されました。次いで2006年にクーペが追加されるとともに、ロードスター/クーペに3.2L直6DOHCエンジン(最高出力343ps/最大トルク37.2kgm)を搭載する「M」仕様が設定されました。そして2009年にフルモデルチェンジが実施され、2代目E89型に移行しました。
日本市場においては、2003年1月にまず「2.5i」および「3.0i」が上陸を果たしました。次いで2003年10月に「2.2i」が追加され、2005年10月には特別仕様車「2.2iロマンティック」が設定されました。続いて2006年4月、クーペの追加とともにグレード体系の変更が行われ、「ロードスター2.5i」「ロードスター3.0Si」「Mロードスター」、「クーペ3.0Si」「Mクーペ」のラインナップとなりました。
次いで2008年2月、2.5Lエンジンを搭載するロードスターの特別仕様車「リミテッドエディション」が設定されました。