ダイムラー・クライスラー(現フィアット・クライスラー)は2006年1月の北米国際オートショーにおいて、ダッジ・ブランドの新型クロスオーバーSUV「キャリバー」を発表しました。クライスラー・ブランドの小型乗用車「ネオン」や「PTクルーザー」の実質的な後継モデルとして位置付けられ、プラットフォームは当時提携関係にあった三菱自動車工業と共同開発した「GSプラットフォーム」が採用されました。
個性的なスタイリング
ボディタイプは5ドアハッチバックで、ダッジのアイデンティティである十字をあしらった大型フロントグリルや、張り出した前後のフェンダーアーチ、丸みを帯びたルーフラインなどを持つ個性的なエクステリア・デザインを備えていました。ボディ・ディメンションは全長4,415mm×全幅1,800mm×全高1,535mm、ホイールベース2,635mmで、この種のモデルとしては低く抑えられた全高が特徴でした。
駆動方式はFFが標準で、オプションで電子制御式4WDが用意されました。エンジンは、クライスラー/三菱自動車/現代自動車の3社共同開発による「ワールドエンジン」が採用されました。ラインナップは、1.8L直4(最高出力150ps/最大トルク17.1kgm)、2L直4(最高出力156ps/最大トルク18.7kgm)、2.4L直4(最高出力174ps/最大トルク22.7kgm)の3種類でした。
さらに、欧州仕様にはフォルクスワーゲン製の2L直4ディーゼルターボ(最高出力140ps/最大トルク31.6kgm)も用意されました。トランスミッションは1.8Lには5速MTが、2LにはCVTが、2.4Lには5速MTまたは6速マニュアルモード付CVTが、2Lディーゼルには6速MTが組み合わせられました。
4輪独立懸架を採用
サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式による4輪独立懸架で、ブレーキはフロントがベンチテーテッド型、リアがソリッド型の4輪ディスク式が装備されました。グレード体系は、1.8L/2Lエンジン搭載のベースグレード「SE」と中級グレード「SXT」、そして2.4Lエンジン搭載の上級グレード「R/T」の3タイプがラインナップされました。
そして翌2月に開催されたシカゴ・オートショーにおいて、2.4L直4ターボエンジン(最高出力289ps/最大トルク36.6kgm)+6速MTを搭載し、最高速度250km/h・0-60mph加速6.1sのパフォーマンスを持つFF方式のホットモデル「SRT4」が発表されました。その後2009年にSRT4が廃止され、翌2010年にはR/Tもカタログ落ちしました。
そして2011年をもって全車生産を終了、翌2012年に後継モデル「ダッジ・ダート」が発売されました。日本市場においては、2007年6月にまず2Lエンジン搭載のSE/SXTが上陸を果たし、翌2008年1月に同じエンジンを搭載する最上級グレード「SXTスポーツ」が追加されました。その後、2010年をもって輸入販売が打ち切られました。