クライスラー(現フィアット・クライスラー)は1984年、ダッジ・ブランドより新型ハッチバック・クーペ「デイトナ」を発売しました。三菱車のバッジ・エンジニアリングであった2代目「チャレンジャー」と「コンクエスト」の間を埋めるモデルとして企画され、駆動方式は前記2車種がFR方式であったのに対し、FF方式が採用されました。
エンジンはNAとターボの2種類
「Gプラットフォーム」に架装されるボディは、2+2仕様の3ドアハッチバックのみの設定でした。エクステリア・デザインは直線基調で、当初は固定式の4灯式ヘッドランプを備えていました。ボディ・ディメンションは全長4,544mm×全幅1,760mm×全高1,278mm、ホイールベース2,464mmというコンパクトなものでした。
エンジンは当初、2.2L直4SOHCのNA仕様(最高出力100ps)とターボ仕様(最高出力144ps)が用意され、トランスミッションは5速MTと3速/4速トルコン式ATが設定されました。また、サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット式、リアがトレーリングアーム式でした。グレード体系は、NAエンジン搭載のベースグレードと、ターボエンジン搭載の「ターボ」「ターボZ」の3タイプがラインナップされました。
そして1985年に、ターボZ専用であったラップアラウンド・リアスポイラーが全車に標準化されるとともに、ターボエンジンの最高出力が148psに向上しました。次いで1986年、ベースグレードのエンジンが2.5L(最高出力101ps)に拡大されるとともに、中間グレードのターボが廃止されました。同時に、ターボZに強化サスペンションやワイドタイヤが備わる「C/Sサスペンションパッケージ」が設定されました。
ポップアップ式ヘッドランプを採用
続いて翌1987年にはフェイスリフトが実施され、ポップアップ式ヘッドランプの採用によりフロントマスクのイメージが一新されました。同時に、新グレードとして豪華版の「パシフィカ」と、2.2Lインタークーラーターボエンジン(最高出力176ps)を搭載し、4輪ディスクブレーキや強化サスペンションなどが備わるホットバージョン「シェルビーZ」が追加されました。
次いで1989年、運転席SRSエアバッグシステムが標準装備されるとともに、ターボZ用のエンジンが2.5Lに拡大され最高出力が152psに向上しました。同時に、新グレード「ES」が設定されました。続いて1990年にインパネのデザインがラップアラウンドタイプに一新されるとともに、助手席にもSRSエアバッグシステムが標準化されました。
追って1991年には、2.5Lターボエンジンまたは三菱製3L V6エンジンを搭載する「IROC」が追加されました。さらに1992年に2度目のフェイスリフトが実施され、ヘッドランプが固定式の異形2灯式に変更されました。そして1993年2月に生産を終了、デイトナの車名は一代限りで消滅しました。