クライスラー(現フィアット・クライスラー)は1968年にダッジ・ブランドより、安価ながらも高性能なマッスルカー「スーパー・ビー」を発売しました。初代は中型乗用車「ダッジ・コロネット」と共通の2ドアクーペボディに強力なエンジンを搭載したモデルで、その後コロネットが世代交代してクーペが廃止されたことを機に、2ドアクーペ「ダッジ・チャージャー」をベースとした2代目に移行しました。
初代は3種類のV8エンジンを用意
初代スーパー・ビーのボディシェルは、基本的にコロネット・クーペと共通であったものの、フロントグリルやリア・ホイールアーチなどのディテールが異なっていました。ボディ・ディメンションは全長5,248mm×全幅1,948mm×全高1,349mm、ホイールベース2,972mmで、全高のわずかな相違をのぞきコロネット・クーペと同一でした。
駆動方式はFRで、エンジンはコロネットが3.7L/5.2L/6.3Lのラインナップであったのに対し、スーパー・ビーには6.3L V8OHV(最高出力340ps/最大トルク58.7kgm)と7.2L V8OHV(最高出力431ps/最大トルク67.7kgm)がラインナップされました。このうち6.3Lエンジンは、コロネットに搭載されるものよりアウトプットが若干高められていました。
トランスミッションは、ハーストシフター採用の4速MTと3速トルコン式ATが設定されました。また、リサーキュレーティング・ボール式のステアリング形式や、4輪ドラム式のブレーキなどはコロネットと共通であった一方、サスペンションには強化が施されていました。そして翌1969年に、センターピラーレスの2ドアハードトップが追加されました。
同時に、ツインスクープ・エアインテーク付のボンネットフードが選択できるようになりましました。さらに、7.2L V8OHVエンジン(最高出力395ps/最大トルク53.9kgm)や専用リア・アクスル、大径ドラムブレーキ、G-70 15タイヤなどが装備される「A12パッケージ」が設定されました。次いで1970年にフェイスリフトが実施され、バンパーで囲まれた2分割タイプのフロントグリルが採用されました。
2代目でスモールブロック・エンジンを追加
同時に、ハイバック・バケットシートやピストルグリップ・ハーストシフターなどがオプション設定されました。そして同じ年に、2代目へとフルモデルチェンジされました。ベースモデルの変更によりボディのフォルムは一新されたものの、2分割タイプのフロントグリルは継承されました。
駆動方式はFRを踏襲し、エンジンはそれまでの6.3L/7L/7.2Lに加え、新たにスモールブロックと呼ばれる5.6L V8(最高出力299ps)が設定されました。しかし、この年限りで生産は打ち切られ、スーパー・ビーの車名は長らくダッジのラインナップから姿を消すこととなりました。