クライスラー(現フィアット・クライスラー)は2007年にダッジ・ブランドより、「ストラトス」の後継モデルとなる新型小型乗用車「アべンジャー」を発売しました。アべンジャーの車名は、1994年から2000年に掛けて販売された初代モデル以来7年ぶりの復活で、プラットフォームは三菱自動車工業との共同開発による「クライスラー・JSプラットフォーム」が採用されました。
個性的なスタイリング
ボディタイプは、初代アヴェンジャーが2ドアクーペ、ストラトスが2ドアクーペおよび4ドアセダンであったのに対し、4ドアセダンのみのラインナップとなりました。スタイリングは、ダッジのアイデンティティである十字型のグリルを配した迫力あるフロントマスクや、三角形のCピラー、スポイラー一体型のテールエンドなどを持つ個性的なものでした。
ボディサイズは全長4,849mm×全幅1,842mm×全高1,496mmで、ストラトスから全幅と全高が拡大されました。また、ホイールベースはストラトスからわずかに延長され2,765mmとなっていました。サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式で、駆動方式はFFのほかに一部グレードにフルタイム4WDが設定されました。
輸出向けにはディーゼルエンジンも用意
エンジンは、アメリカ本国仕様には2.4L直4DOHC(最高出力170ps/最大トルク22.4kgm)、2.7L V6DOHC(最高出力189ps/最大トルク26.1kgm)、3.5L V6SOHC(最高出力238ps/最大トルク32.1kgm)の3種類が用意されました。一方輸出向けモデルには、2L直4DOHC(最高出力156ps/最大トルク19.4kgm)や2L直4DOHCディーゼルターボ(最高出力140ps/最大トルク31.6kgm)も用意されました。
トランスミッションは4速/6速トルコン式ATのほか、輸出用エンジンには5速/6速MTも設定されました。ステアリング形式はラック&ピニオン式で、ブレーキはフロントがベンチテーテッド型、リアがソリッド型の4輪ディスク式が採用されました。本国仕様のグレード体系は、当初2.4Lエンジン搭載の「SE」、2.4L/2.7Lエンジン搭載の「SXT」、3.5Lエンジン搭載の「R/T」がラインナップされました。
V6エンジンを変更
その後2010年に、SEに代わるグレード「エキスプレス」が設定されました。次いで2011年のフェイスリフトで内外装デザインが刷新されるとともに、2.7L V6およおび3.5L V6に代わり3.6L V6DOHCエンジン(最高出力287ps/最大トルク36kgm)が設定されました。同時にグレード体系が見直され、SXTとR/Tに代わり「メインストリート」と「ラックス」が設定されました。
しかし、このグレード体系は1年限りで廃止され、翌2012年にSE、SXT、SXTプラス、R/Tのラインナップとなりました。そして2014年をもって生産を終了、アベンジャーの車名はクライスラーのラインナップから消滅しました。日本市場においては、2007年6月にまず2.7Lエンジン+4速AT仕様の「SXT」が上陸、翌2008年4月に廉価版の「SXTベーシック」が追加され、ともに2010年まで販売されました。