初代モデルが1964年にデビューしたフォード・モーターの2ドア・2+2シーター仕様スポーティカー「マスタング」は、1973年のフルモデルチェンジにより通算3代目モデルに移行すると共に、車名が「マスタングⅡ」に変更されました。オイルショックや排出ガス規制への対応により、ボディサイズとエンジンの排気量が大幅にダウンサイジングされた事が特徴でした。
プラットフォームを一新
プラットフォームは、従来の「ファルコン」用ベースからサブコンパクトカー「ピント」用ベースに変更されました。ボディタイプは、先代同様のノッチバック・ハードトップ仕様の「クーペ」と、テールゲートが追加されたファストバック・ハードトップ仕様の「ハッチバック」の2タイプのラインナップで、初代/2代目に設定のあったコンバーチブルは廃止されました。
ボディサイズは全長4,445mm×全幅1,783mm×全高1,278mm(クーペ)/1,270mm(ハッチバック)で、先代から全長が317mm、全幅が38mm縮小されました。又、ホイールベースも一気に300mm短縮され、2,443mmとなりました。エクステリア・デザインはイタリアのカロッツェリア・ギアにより手掛けられ、ボディサイズ縮小と相まって従来よりも引き締まったスタイリングに変貌しました。
駆動方式はFRを踏襲する一方、エンジンはラインナップが一新されました。先代後期型に用意されていた4.1L直6/4.9L V8/5.8L V8は全て廃止され、代わって用意されたのは当初ピントにも搭載される2.3L直4SOHC(最高出力89ps)と、2.8L V6OHV(最高出力106ps)の2種類でした。デフォルトで搭載されるのは前者で、後者はオプション扱いとなっていました。
V8エンジンを追加
排気量の大幅な縮小に伴い、最高出力も従来の99~270psから大幅にドロップしました。組み合わせられるトランスミッションは、4速MT又は3速トルコン式ATでした。グレード体系は、ベースグレードの他に上級グレードとしてクーペに「ギア」が、リフトバックに「マッハ1」が用意されました。その後1975年に、4.9L V8OHVエンジン(最高出力142ps)がオプション設定されました。
次いで翌1976年には、ボンネット上のエアスクープやエアロパーツ、専用ボディグラフィックなどを備えると共に、操縦安定性を向上させたスポーティモデル「コブラⅡ」が追加されました。続いて1977年、ハッチバックをベースにTバールーフを採用した「Tトップ」が、更に1978年にはコブラⅡをベースにエアロパーツやボディグラフィックの意匠を変更した「キングコブラ」が設定されました。
そして1979年にフルモデルチェンジが実施され、4代目マスタングに移行しました。
先代モデル:2代目マスタング
後継モデル:4代目マスタング