ジャガー・カーズは1996年3月のジュネーブ・ショーにおいて、「XJS」の後継モデルとなる新型スポーツカー「XK8」を発表しました。当初公開されたのは2+2仕様のクーペのみであったものの、翌4月のニューヨーク・ショーで同じく2+2仕様のコンバーチブルが出展されました。後に、更に高性能な「XKR」がラインナップに加わりました。
軽量ボディに新エンジンを搭載
スタイリングは直線基調のXJSから一転し、往年の「Eタイプ」を彷彿とさせる曲線的なフォルムに変貌しました。同時に、ボディ剛性や衝突安全性の強化、軽量化などが図られた事も特徴でした。ボディサイズは全長4,770mm×全幅1,830mm×全高1,295mmで、XJSから全長が50mm短縮され、全幅と全高はそれぞれ35mm、25mm拡大されました。
ホイールベースは同一の2,590mmで、車両重量は80~90kg程軽い1,640~1,710kgとなりました。サスペンション形式はXJSと同様の4輪ダブルウィッシュボーン式で、駆動方式もFRが踏襲されました。搭載エンジンは新開発された4L V8DOHC NAのAJV8型で、デンソー製電子燃料噴射装置を装備し最高出力294ps/最大トルク40kgmのアウトプットを発生しました。
このスペックは、XJSに搭載された4L直6DOHCエンジンを69ps/1.6kgm上回るものでした。トランスミッションは5速トルコン式ATが組み合わせられ、最高速度251km/h・0-60mph加速6.4sの動力性能(※クーペの数値)を発揮しました。又、4輪ディスク式のブレーキはフロントに加えリアにもベンチレーテッド型が採用され、ホイールはそれまでの15インチから17又は18インチへと大径化されました。
排気量を拡大
そして1998年に、AJV8型スーパーチャージドエンジン(最高出力375ps/最大トルク53.5kgm)を搭載するXKRクーペ/コンバーチブルが追加されました。更に2002年にはエンジンの排気量が4.2Lに拡大され、アウトプットがXK8は最高出力304ps/最大トルク42.8kgmに、XKRは最高出力395ps/最大トルク55.2kgmに向上しました。それと同時に、ATが6速に多段化されました。
最高速度は共に250km/hで、0-60mph加速は前者が6.1s、後者が5.2sでした(※いずれもクーペの数値)。次いで2004年にフェイスリフトが実施され、フロント廻りやリア廻り、アルミホイールの意匠などが変更されました。そして2006年にフルモデルチェンジが実施され、2代目X150型XK/XKRに移行しました。
日本市場においては、1996年8月にまずXK8クーペスポーツ/クラシック及びXK8コンバーチブルが上陸を果たし、翌1997年10月にはXK8クーペスポーツのグレード名がXK8クーペに変更されました。次いで1999年2月にXKRクーペ/コンバーチブルが追加された後、2002年11月に4.2L版に、更に2004年5月にフェイスリフト版に切り替えられました。