ドイツ・フォードは1957年、大衆車「タウヌス12M・15M」の上級モデルとなる小型乗用車「タウヌス17M(P2系)」を発売しました。タウヌス12M・15M同様にコンベンショナルなFRレイアウトを採用するなど、手堅い設計が行われたモデルでした。一方、スタイリングは12M・15Mとは全く異なっており、アメリカ大陸のフォード車を彷彿とさせる派手なデザインが採用されました。
ボディ・バリエーションは4タイプ
ボディのバリエーションは、2ドアおよび4ドアセダン、3ドアステーションワゴン「コンビ」、2ドアカブリオレの4タイプがラインナップされました。スタイリングは、盛り上がったフェンダーの峰の延長線上に設けられた丸型2灯式ヘッドランプや、当時のアメリカ車の間で流行していたテールフィン(ごく控えめな)の採用などの特徴を備えていました。
ボディサイズは全長4,374mm×全幅1,664mm×全高1,506mmで、全高を除きタウヌス12M・15Mより一回り大きく、ホイールベースも110mm程長い2,604mmに設定されていました。サスペンション形式は、フロントにマクファーソンストラット式、リアにリジッド・リーフ式が採用されました。また、ステアリング形式はウォーム&ローラー式で、ブレーキは当時として一般的な4輪ドラム式が採用されました。
よりパワフルな1.7Lエンジンを搭載
エンジンは、タウヌス12M・15Mの水冷1.2L/1.5Lに代わり、よりパワフルな水冷1.7L直4OHVソレックス・シングルキャブレター仕様が搭載されました。圧縮比は7.1:1で、最高出力60ps/4,250rpm・最大トルク13.2kgm/2,200rpmのアウトプットを発生しました。トランスミッションはタウヌス12M・15M同様、3速コラム式MTが組み合わせられ、最高速度125km/hの性能でした。
一方インテリアは、水平基調のインパネに扇形のスピードメーターが備わるデザインでした。グレードはベースグレードと上級グレード「デラックス」の2タイプが設定され、後者にはツートーンのボディカラーやクロームメッキの加飾が備わる他、専用ステアリングホイールやタコメーターなどが装備されました。
その後1959年秋に、P2系唯一となるフェイスリフトが実施されました。外観上の変更点は、丸みを帯びていたルーフラインがフラットな形状に変更され、全高が30mm低められました。同時に、ベースグレードに「デラックス」と共通のフロントグリルが与えられました。さらにエンジンにも改良が施され、燃費が若干向上しました。
そして1960年にフルモデルチェンジが実施され、エアロダイナミックなフォルムを採用した2代目P3系に移行しました。