ホンダ技研工業は1995年10月、1993年5月のフルモデルチェンジにより3代目となった小型車「インテグラ」に、スポーティグレード「タイプR」を追加しました。徹底的な軽量化が図られると共にエアロパーツが装着されるボディに、専用チューニングが施された高性能エンジンが搭載され、高い走行性能を発揮しました。
クーペとハードトップを設定
ボディタイプは標準的なグレード同様、3ドアハッチバッククーペと4ドアハードトップが設定されました。エクステリア面では、フロント及びリアスポイラーやローダウンサスペンションの装備などにより、他のグレードとの識別が可能でした。ボディサイズは、クーペは全長4,380mm×全幅1,695mm×全高1,320mmで、他のグレードより全高が15mm低く設定されていました。
一方ハードトップは、全長4,525mm×全幅1,695mm×全高1,355mmでクーペよりも一回り大きく、全高は同様に15mmローダウンされていました。ホイールベースはクーペが2,570mm、ハードトップが2,620mmで、初期型の車両重量は前者が1,060kg、後者が1,100kgでした。サスペンション形式は、共に4輪ダブルウィッシュボーン式が踏襲されました。
ハイチューン仕様VTECエンジンを搭載
駆動方式はFFのみの設定で、一部グレードに設定されたフルタイム4WDは用意されませんでした。エンジンは、かつて設定されていたスポーティグレード「Si-VTEC」用の1.8L直4DOHC NA VTEC仕様のB18C型が、チューンナップされた上で搭載されました。当初のスペックは最高出力200ps/8,000rpm・最大トルク18.5kgm/7,500rpmで、従来からアウトプットが20ps/0.7kgm向上していました。
トランスミッションは、クロスレシオ化が図られた5速MTが組み合わせられました。ブレーキはフロント:ベンチレーテッドディスク式/リア:ディスク式が採用され、タイヤは195/55R15サイズが装着されました。又、コーナーリング時のトラクション性能向上の為に、デフにはヘリカルLSDが装着されました。
インテリア面では、レカロ製バケットシートやMOMO製本革巻きステアリングホイール、チタン製シフトノブなどが採用された一方で、軽量化の為にエアコンやカーオーディオなどは備わらない他、遮音材も省かれていました。安全装備面では、オプションでSRSデュアルエアバッグシステムとABSが用意されました。
改良でパフォーマンスが向上
そして1998年1月の一部改良により、エンジンの最大トルクが19kgm/6,200rpmに向上すると共に、ギアレシオの変更、ボディ剛性の強化、タイヤサイズの拡大(215/45ZR16に)などのモディファイが施されました。同時に、SRSデュアルエアバッグシステムとABSが標準化された事などから、車両重量はクーペ/ハードトップ共に40kg増加しました。
更に、クーペに前述の安全装備を省く事などにより車両重量を1,070kgに減量化した「タイプRレースベース車」が設定されました。次いで1999年12月に実施された仕様変更の際に、クーペにエアコンやCDプレーヤー付カーオーディオ、カーボン調センターパネル、アルミパッドスポーツペダルなどが装備される上級グレード「タイプR・X」が追加されました(車両重量は1,120kg)。
そして2001年7月、インテグラが4代目にフルモデルチェンジされると共に、タイプRもそれをベースとするDC5型に移行しました。
後継モデル:2代目インテグラタイプR