ジャガー・カーズは1961年のジュネーブ・ショーにおいて、基本設計を1950年まで遡る「マークⅨ」の後継車種となるプレミアムFR4ドアサルーン「マークX」を発表しました。同時に発表されたスポーツカー「Eタイプ」譲りのメカニズムが採用された事が特徴で、後に実施されたフェイスリフトの際に車名が「420G」に変更されました。
モノコックボディと4輪独立懸架を採用
ボディはモノコック構造が採用され、そのスタイリングはフラッシュサイド・フルワイズ化されると共に、ワイド&ローの近代的なプロポーションに変貌しました。又、天地の低いフロントグリルや丸型4灯式ヘッドランプの採用により、フロントマスクのイメージも一新されました。ボディサイズは、全長5,130mm×全幅1,930mm×全高1,380mmという堂々たる体躯でした。
マークⅨに対しては全長が140mm、全幅が80mm拡大された一方で、全高は220mm低められていました。車両重量は1,778kgで、ボディサイズの拡大にも関わらず25kgの軽量化を実現していました。サスペンション形式は、フロントはダブルウィッシュボーン式を踏襲しつつ、スプリングがそれまでのトーションバーからコイルに変更されました。
Eタイプと共通のエンジンを搭載
一方リアは、リジッド・リーフ式からEタイプと共通のロワーウィッシュボーン+ラジアスアーム/ツインコイル式による独立懸架に変更されました。エンジンは、これもEタイプと同様の3.8L直6DOHC3連キャブレター仕様(最高出力269ps/最大トルク36kgm)が搭載されました。スペックをマークⅨに搭載されていた同エンジンのツインキャブレター仕様と比較すると、46ps/2.9kgmの向上を果たしていました。
トランスミッションは4速MTが標準であったものの、オーバードライブ付きや3速トルコン式ATを選択する事も可能でした。又、ステアリング形式はマークⅨと同様パワーアシスト付きのリサーキュレーティング・ボール式で、4輪ディスク式を踏襲するブレーキはリアがインボードタイプとなりました。
その後1964年に、エンジンの排気量が4.2Lに拡大されました。アウトプットは最高出力こそ269psのままであったものの、最大トルクが39.1kgmまで向上、MT仕様の最高速度は13km/hアップの198km/hとなりました。次いで1966年10月、フェイスリフト版の420Gにバトンタッチされました。エクステリア面での変更は、モールの追加などごく小規模に留まりました。
そして1968年に実質的な後継モデルとなる「XJ6」がデビューした後も、その上位モデルとしての位置付けで1970年まで生産が継続されました。