1970年にデビューしたランドローバーの高級SUV「レンジローバー」は、1994年に24年ぶりにして初のフルモデルチェンジが施されました。ラダーフレーム式シャシーや4輪コイル・リジッド式サスペンション、ビスカスカップリング式フルタイム4WD方式などの基本メカニズムを踏襲しつつ、更なる高性能化や装備の充実化が図られた正常進化型モデルでした。
ボディを5ドアに一本化
ボディタイプは3ドアが廃止され5ドアに一本化されると共に、2種類用意されたホイールベースが1種類のみとなりました。スタイリングはスクエアなフォルムを踏襲しながらも、A/Cピラーの傾斜が強められるなど近代化が図られました。ボディサイズは全長4,714mm×全幅1,890mm×全高1,819mmで、先代から一回り拡大されました。
又、ホイールベースは先代ロングホイールベース仕様とほぼ同等の2,746mmでした。エンジンは、先代からキャリオーバーされた3.9L V8OHV(最高出力193ps/最大トルク31.2kgm)と、先代の4.3Lから排気量が拡大された4.6L V8OHV(最高出力228ps/最大トルク38.2kgm)のガソリンNA2種類に加え、2.5L直6OHVディーゼルターボ(最高出力136ps/最大トルク27.5kgm)が用意されました。
安全装備を強化
トランスミッションはMTが廃止され、一本のシフトレバーで副変速機の操作を可能とした4速トルコン式ATに一本化されました。又、装備面ではABSに加えSRSデュアルエアバッグシステムやサイドインパクトバーが採用され、安全性能が向上した他、エアコンがマニュアル式からフルオート式にアップグレードされました。
その後大きな仕様変更のないまま2002年まで生産が続けられた後、同年4月に3代目モデルにバトンタッチされました。2代目モデルの日本市場初上陸は1995年4月で、グレードは当初3.9Lエンジン搭載の「4.0SE」と4.6Lエンジン搭載の「4.6HSE」の2タイプでした。エクステリア面では、両グレードに前後フォグランプやフロントスポイラーが採用されました。
又、インテリア面では両グレードにレザーシートやクルーズコントロール、CDチェンジャー付き11スピーカー採用オーディオシステムなどが、更に4.6HSEには運転席パワーシートやサンルーフが標準装備されました。そして1996年10月、4.6HSEをベースに仕様向上を図った特別仕様車「オートバイオグラフィー」が設定されました。
次いで1998年5月、4.0SEをベースにレザーシートやクルーズコントロールなどを省き価格を抑えた「4.0S」が追加されると共に、ランドローバー創立50周年記念モデルとして、4.6HSEをベースに仕様向上を図った「50thアニバーサリーリミテッド」が設定されました。続いて1999年1月には、4.0SEをベースに仕様向上を図った特別仕様車「デスティニー」が設定されました。
次いで2000年4月、SRSサイドエアバッグシステムが標準装備されると共に、4.6Lエンジン搭載の上級グレード「ヴォーグ」が追加されました。続いて同年12月、レンジローバー誕生30周年を記念した特別仕様車として4.6HSEをベースとした「30周年記念限定車」が、そして2002年5月に4.6HSEをベースとした最後の限定車「ロイヤルエディション」が設定されました。