マセラティは1988年のジュネーブ・ショーで、新型2ドアクーペ「カリフ」発表しました。同社として久しぶりとなる2シーター・ピュアスポーツクーペで、前年に「ビトゥルボ・スパイダー」の改良型としてデビューした「スパイダー・ザガート」のハードトップバージョンと言えるモデルでした。
ボディスペックはスパイダー・ザガートとほぼ同等
スタイリングは、角形4灯式ヘッドランプ採用のフロントマスクやウェッジシェイプのベルトラインなど、基本的にスパイダー・ザガート譲りのものでした。グリーンハウスはB/Cピラーが備わる4ライトウィンドウで、スパイダー・ザガートに備わる三角窓は廃止されていました。ボディサイズは全長4,043mm×全幅1,714mm×全高1,310mmで、全高が12mm高い事を除けばスパイダー・ザガートと同一でした。
ホイールベースは共通の2,400mmで、フロント:1,455mm/リア:1,460mmのトレッドは僅かに異なるだけで実質的に同等と言えるものでした。車両重量は1,310kgで、スパイダー・ザガートより10kg程増加していました。そしてサスペンション形式も、フロント:マクファーソンストラット式+スタビライザー/リア:セミトレーリングアーム式が踏襲されました。
エンジンはアウトプットが向上
その他、FRの駆動方式やラック&ピニオン式のステアリング形式、フロント:ベンチレーテッド・ディスク式/リア:ディスク式のブレーキ、前後共に7.0J×15+205/50VR15のホイール&タイヤサイズなどの基本メカニズムや仕様が、スパイダー・ザガートからそのまま受け継がれました。エンジンも基本的に同一の、水冷式インタークーラー付きツインターボチャージャー仕様の2.8L V6SOHC18バルブが踏襲されました。
又、燃料供給スシテムも同様にウェーバー・マレリ製フューエルインジェクションを採用する一方、圧縮比が7.4:1から7.8:1に高められるなどのチューニングが施され、アウトプットはスパイダー・ザガートの最高出力225ps/5,500rpm・最大トルク37kgm/3,500rpmから、最高出力250ps/5,600rpm・最大トルク39.2kgm/3,600rpmに向上していました。
トランスミッションは、4速トルコン式ATも用意されたスパイダー・ザガートと異なり5速MTのみが設定され、最高速度240km/hの性能でした。一方インテリアは、スパイダー・ザガートに備わる申し訳程度のリアシートが備わらない他は基本的に共通のデザインとなるものの、よりサポート性に優れた形状のシートやウッド製のステアリングホイールが備わるのが相違点でした。
カリフの生産期間は、翌1989年に更に高性能な「シャマル」が登場した事もあり、1992年までの3年間に過ぎませんでした。