ダイムラー・ベンツ(現ダイムラーAG)は1963年6月、「300SLロードスター」「190SL」に代わる新型スポーツカー「230SL」(W113型)を発表しました。ボディタイプはそれまでと同様2シーター・カブリオレで、性格的には300SLロードスターよりも190SLに近く、新たにATやパワーステアリングが設定されるなどツアラー路線が強められました。
プレーンなスタイリングに
当初はソフトトップ仕様の「ロードスター」のみの設定で、スタイリングは丸みを帯びたフォルムと前後フェンダー上のフィンが特徴的だった190SL/300SLロードスターから一転し、直線基調のプレーンなフォルムに変貌しました。ボディサイズは全長4,285mm×全幅1,760mm×全高1,320mmで、全高を除き300SLロードスターよりも一回り小さく、190SLに近い大きさでした。
又、2400mmのホイールベースは190SL/300SLロードスターに等しく、車両重量は190SLより135kg重い1,295kgでした。サスペンション形式はフロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:スウィングアクスル式が踏襲され、駆動方式もFRが踏襲されました。エンジンは、2.3L直6SOHCボッシュ機械式燃料噴射仕様(最高出力150ps/最大トルク20kgm)が搭載されました。
1.9Lエンジン搭載の190SLからは最高出力で45ps、最大トルクで5.5kgmの向上を果たし、従来通り4速MTとの組み合わせによる最高速度は20km/h高い200km/hに達しました。又、ブレーキは190SLが4輪ドラム式、300SLロードスターが4輪ディスク式であったのに対し、230SLではフロント:ディスク式/リア:ドラム式が採用されました。
そして同年10月に4速トルコン式ATが設定され、翌1964年にはデチャッタブル・ハードトップがオプションで用意されました。次いで1965年、フロアパネルなどが新型ラグジュアリーセダンW108/W109型と共有化されると共に、内装の変更が行われました。続いて1966年には、ZF製5速MTがオプション設定されました。
排気量を拡大し加速性能が向上
そして同じ年に、排気量を2.5Lに拡大すると共にリアブレーキをディスク化した「250SL」に移行しました。最高出力は150psに据え置かれた一方で最大トルクは22kgmに向上し、パフォーマンス面では200km/hの最高速度は同一であったののの、0-100km/h加速は1.4s短縮され9.7sとなりました。又、北米の安全基準をクリアする為にインパネやステアリングがパッド付となりました。
同時に、派生モデルとして2+2シーター仕様の「カリフォルニア・クーペ」が追加されました。続いて翌1967年には、排気量を2.8Lに拡大した「280SL」に移行しました。スペックは最高出力170ps/最大トルク24.5kgmに向上し、最高速度は200km/hのままであったものの、0-100km/h加速は9sに短縮されました。そして1971年、3代目R107型にバトンタッチして生産終了となりました。