三菱重工業の前身にあたる新三菱重工業は1960年4月、同社として戦後初の自社設計乗用車となる「三菱・500」を発売しました。1955年に当時の運輸省より発表された国民車構想に準じて設計されたモデルで、軽自動車よりも一回り大きいボディと排気量を持っていました。しかし、軽自動車との差別化が不十分で販売は振るわなかったため、2年後に早くもフルモデルチェンジを受け「三菱コルト600」となりました。
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初期型はシンプルな造形が特徴
ボディタイプは3ボックス型の2ドアセダンのみの設定で、乗車定員は当初4名でした。スタイリングは、西ドイツ(当時)のバブルカー、「グラース・ゴッゴモビル」の影響を受けた丸みを帯びたものでした。また、初期型はテールランプが中央に1個備わるのみで、ウィンカーランプはBピラーに備わっていたため、非常に質素なフロント/リアまわりの意匠を持っていました。
ボディ・ディメンションは全長3,140mm×全幅1,390mm×全高1,380mm、ホイールベース2,065mmで、当時の軽自動車規格よりも全長が140mm、全幅が90mm大きいものでした。車両重量は、軽自動車なみの490kgに抑えられていました。駆動方式は当時の小型車によくみられたRRで、エンジンは強制空冷4ストローク500cc直2OHVのNE19型が搭載されました。
スペックは最高出力21ps/最大トルク3.4kgmで、2~3速がシンクロ式の3速フロア式MTとの組み合わせによる最高速度は90km/hでした。サスペンション形式は、フロントに独特なトレーリング・ロッカーアーム式、リアにトレーリングアーム式を用いた4輪独立懸架採用されました。また、タイヤサイズは5.20-12と小径ながら、220mmの最低地上高が確保されていました。
三菱500のテスト走行
三菱500の走行動画
上級グレードを追加
その後同年4月に、三角窓などが装備される上級グレード「デラックス」が追加されました。さらに翌1961年8月には、ウィンカーランプがフロントおよびリアエンドに移設されるとともに、リアシートが2人掛けから3人掛けに変更されました。それと同時に、600cc直2OHVのNE35A型エンジン(最高出力25ps)を搭載し、最高速度100km/hの性能を持つ最上級グレード「スーパーデラックス」が追加されました。
そうした改良にも関わらず、税制面で有利な「スバル・360」をはじめとする軽乗用車や、より上級志向の強い「トヨタ・パブリカ」などに押され販売は伸び悩んだため、翌1962年6月にフルモデルチェンジを実施、基本メカニズムは500譲りながら居住性の改善やトランクスペースの確保が図られたコルト600に移行しました。
コルト600となりボディを拡大
モダンなスタイリングに変貌したボディのサイズは、全長3,385mm×全幅1,410mm×全高1,370mmで、全高をのぞき500から一回り拡大されていました。一方、ホイールベースに変更はありませんでした。エンジンはNE35A型を改良したNE35B型(最高出力25ps/最大トルク4.2kgm)が搭載され、トランスミッションは同じ3速MTながらコラム式に変更されました。
その後1963年9月にマイナーチェンジが実施されたのち、1965年11月に事実上の後継モデル「コルト800」の発売にともない生産終了となりました。
コルト1000/1100/1200/1500
コルト800/1000F/1100F/11F