東洋工業(現:マツダ)は1959年6月、新型小型オート3輪「マツダ・T600」を発売しました。前月に「ダイハツ・ミゼット」への対抗馬として登場した軽オート3輪「マツダ・K360」をベースに、排気量と荷台長を拡大して登録車としたもので、基本メカニズムはK360譲りでした。K360ほどのヒットには至らなかったものの、10年に渡り生産が続けられるロングセラーモデルとなりました。
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K360よりも遥かに強力なエンジンを搭載
ボディタイプは当初、幌の装着が可能なオープン荷台トラック仕様のみの設定でした。室内は、K360同様独立した2つのシートが備わる2人乗り仕様で、同様にラック&ピニオン式採用の丸型ステアリングホイールが右側に備わっていました。スタイリングは、流麗なフロントまわりの造形やツートーンのボディカラーなど、K360の特徴が踏襲されました。
ボディサイズは全長3,125mm×全幅1,280mm×全高1,440mmで、K360から全長が150mm延長されるとともに、後述するタイヤサイズの相違により全高が若干高められていました。一方、ホイールベースは当初K360と共通の2,060mmでした。車両重量は510kgで、K360から15kg増加していました。また、最大積載量はK360よりも200kg大きい500kgとなっていました。
駆動方式はK360同様の、エンジンを運転席後方下部に搭載して後輪を駆動するMR方式が踏襲されました。エンジンは、強制空冷4ストローク600ccV2OHVが搭載されました。スペックは最高出力20ps/4,300rpm・最大トルク3.8kgm/3,000rpmで、360ccエンジンを搭載するK360と比較すると9ps/1.6kgmもの増強が図られました。
K360同様の常時噛合選択式3速MTとの組み合わせによる最高速度は、それよりも10km/h高い75km/hに達しました。また、サスペンション形式は、K360同様のフロント:ボトムリンク/コイル式・リア:リジッド・アクスル/リーフ式が踏襲されました。一方タイヤは、K360よりも大径かつ若干ナローな5.00-13が装着されました。
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ボディサイズ拡大やホイールベース延長を実施
その後翌1960年に仕様変更が実施され、ホイールベースが2,150mmに延長されました。同時に、フロント・バンパーが追加されたほかリアにブリスターフェンダーが採用され、全長が3,295mm、全幅が1,320mmに拡大されました。さらに、新たに「ライトバン」と呼ばれるパネルトラック仕様と、荷台にハードカバーが備わる「トランク型」が追加されました。
次いで1962年8月、K360とともに初のマイナーチェンジが実施されました。変更点はK360に施されたものに準じるもので、ドアウィンドウが引き違い式から上下スライド式に変更されたほか、三角窓およびベンチレーターの新設、ステアリングホイール形状や操作スイッチ類の変更などが行われました。
続いて1964年1月、K360とともに2度目のマイナーチェンジが実施され、全長が3,300mmに延長されると同時に、キャビンのルーフが幌製からスチール製に変更されたほか、足回りの強化やガソリンタンクの増量、内装の仕様変更などさまざまなリファインが施されました。その後は仕様変更などは行われないまま1969年3月まで生産を継続、同年10月をもって販売終了となりました。
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