1964年に三菱初の高級4ドアセダンとしてデビューした「デボネア」は、22年を経過した1986年8月に初のフルモデルチェンジを実施し、2代目モデル「デボネアV」に移行しました。開発にあたっては、当時提携関係にあった韓国ヒュンダイ社と米国クライスラー社が大きな影響を与えました。
ヒュンダイが設計・開発を委託
当時韓国では、来る1988年のソウルオリンピックに備えVIP用送迎車を必要としていたものの、トップメーカーのヒュンダイでさえ高級セダンを開発した経験がなかった為、三菱自動車に設計・開発が委託される事となりました。開発にあたり、当初適切な搭載エンジンが存在しなかった事が大きなネックとなったものの、クライスラーへの供給を前提に新開発される事となったV6エンジンを流用する事で問題が解決されました。
こうしてヒュンダイ版の「グレンジャー」と、その三菱版であるデボネアVが同時期に誕生する事となりました。エクステリアデザインはボクシーかつコンサバティブで決してスタイリッシュとは言えなかったものの、古色蒼然とした先代よりは遥かにモダンで時代の水準に沿ったものとなりました。
初期型のボディサイズは全長4,690mm×全幅1,695mm×全高1,460mmで、先代と実質的に同等でした。又、プラットフォームは3代目「ギャランΣ」用を流用しながら、ホイールベースは先代と同一の2,735mmまでストレッチされていました。サスペンション形式は、フロントがダブルウィッシュボーン式からストラット式に、リアはリジッド・リーフ式から3リンク/コイル式に変更されました。
駆動方式はFFを採用
駆動方式は、先代のFRからギャランΣ同様の横置き式FFに変更されました。当初搭載されたエンジンは、2L V6SOHCの6G71型(最高出力105ps)及び3L V6SOHCの6G72型(最高出力150ps)で、トランスミッションはフロア式又はコラム式の4速トルコン式が組み合わせられました。その後、6G71型は120psに、6G72型は155psにアウトプット向上が図られました。
又、タクシー/ハイヤー向けのLPGガス仕様車も用意されました。そして1987年に、6G71型スーパーチャージドエンジン(最高出力150ps)搭載車が追加されました。次いで1989年に、同エンジン搭載車に代わり6G72型DOHC仕様エンジン搭載車が設定されました。最高出力は当初200psであったものの、1991年に210psへとパワーアップが図られました。
その他、新グレードとしてドイツのAMG社監修による専用エアロパーツ装着車「AMG」や、英国のアパレルメーカーにより内装が手掛けられた「アクアスキュータム」などが追加されました。そして1992年10月にフルモデルチェンジが実施され、3代目デボネアに移行しました。