日産自動車は1978年5月、1974年にリリースした「チェリーF-Ⅱ」の後継車種となり、「サニー」の一クラス下に位置するコンパクトカー「パルサー」を発売しました。FF方式のエンジンレイアウトやパワートレイン、足回りなどをチェリーF-Ⅱから受け継ぎながら、スタイリングはそれまでの曲線基調から直線基調のシャープなフォルムへと大きく変貌しました。
まずは4ドアセダンから
ボディタイプは当初、2ボックス型4ドアセダンのみが用意されました。初期型のボディサイズは全長3,940mm×全幅1,620mm×全高1,360mmで、全高を除きチェリーF-Ⅱから一回り拡大されました。一方、ホイールベースは同一の2,395mmで、サスペンション形式もフロント:ストラット式/リア:トレーリングアーム・コイル式による4輪独立懸架が踏襲されました。
エンジンは当初、1.2L直4OHVのA12型シングルキャブレター仕様(最高出力70ps/最大トルク10.2kgm)と、1.4L直4OHV型のA14型シングルキャブレター仕様(最高出力80ps/最大トルク11.5kgm)及びツインキャブレター仕様(最高出力92ps/最大トルク11.7kgm)が用意されました。トランスミッションは4速/5速MTの他、1.4L車には3速セミAT「スポーツマチック」が設定されました。
ボディバリエーションを拡大
当初のグレード体系は、ハッチバックが下から1200STD/1200CUSTOM/1200CUSTOM-D/1200TS/1400TS/1400TS-X、セダンが1200CUSTOM/1200CUSTOM-D/1200TS/1400TS/1400TS-G、クーペが1200TS/1400TS/1400TS-Xのラインナップでした。そして同年9月、4ドアセダンと同様のフォルムを持つ3ドアハッチバックと、ファストバックボディ+ガラスハッチ採用の3ドアクーペが追加されました。
同時に、1.4L EGI(電子燃料噴射)仕様のA14E型エンジン(スペックはツインキャブレター仕様と同一)を搭載するセダン/ハッチバック/クーペ「1400TS-XE」及びセダン「1400TS-GE」が設定されました。追って同年11月には、リアサスペンションのスプリングをトーションバー式に変更し、6ライトウィンドウを採用した5ドアバンが追加になりました。
更に1979年9月、4ドアセダンをベースにテールゲートを追加した5ドアハッチバックが追加されました。続いて1980年5月のマイナーチェンジにより、ヘッドランプが丸型2灯式から角形2灯式に変更されると共に、4ドアセダンが廃止されました。次いで1981年3月に実施された2度目のマイナーチェンジでは、エンジンが直4SOHC電子制御キャブレター仕様のE型に置換されました。
ラインナップは、1.3LのE13S型(最高出力75ps/最大トルク10.7kgm)及び1.5LのE15S型(最高出力85ps/最大トルク12.3kgm)の2種類でした。又、同時にATが3速トルコン式に変更されました。そして1982年4月にフルモデルチェンジが実施され、2代目N12型パルサー及びそのクーペ版となる「パスサーエクサ」移行しました。