1972年にデビューした本田技研工業のコンパクトカー「シビック」は、1983年9月に2度目のフルモデルチェジを受け通称「ワンダーシビック」と呼ばれる3代目モデルに移行しました。そして翌10月、先代に用意されていた5ドアステーションワゴン「シビックカントリー」に代わるモデルとして、5ドアセミトールワゴンの「シビックシャトル」が追加されました。
M・M思想を具現化したフォルムを採用
M・M(マン・マキシマム・メカ・ミニマム)思想の採用により、ボディはショートノーズ・ビッグキャビンのフォルムに変貌すると共に、空力特性向上にも注力されました。ボディサイズは全長3,990mm×全幅1,645mm×全高1,490mmで、カントリーから全長が短縮された一方、全幅と全高が拡大されました。又、ホイールベースは130mm延長され2,450mmとなりました。
サスペンション形式はカントリーの4輪ストラット式から、「スポルティックサスペンション」と呼ばれるフロント:ストラット式/リア:トレーリングリンク式に変更されました。駆動方式はFFを踏襲、エンジンラインナップは一新され、1.3L直4SOHCキャブレター仕様のEV型と1.5L直4SOHCキャブレター仕様及びPGM-FI仕様のEW型が用意されました。
最高出力/最大トルクはそれぞれ80ps/11.3kgm、90ps/12.8kgm、100ps/13.2kgmで、トランスミッションは当初4速/5速MTと3速トルコン式AT「ホンダマチック」が設定されました。当初のグレード体系は、下から1.3Lエンジン搭載の「53U」、1.5Lキャブレターエンジン搭載の「55M」「55J」「55G」、同PGM-FIエンジン搭載の「55i」のラインナップでした。
ホンダ シビックシャトル 新車情報’86
4WD車を追加
そして1984年11月に、パートタイム式4WDモデル「4WD」が追加されました。パワートレインは1.5Lキャブレター仕様エンジン+スーパーロー付6速MTで、リアサスペンションにパナールロッド付4リンク式を採用、外観上は大型バンパーの採用などによりFF車との差別化が図られました。
グレードは、ベーシックな「4WD-M」と油圧式パワーステアリングやウォッシャー連動式ヘッドランプワイパーなどが備わる「4WD-J」がラインナップされました。次いで1985年9月のマイナーチェンジでFF車のグレードが55J/55iの2タイプに整理されると共に、ATがロックアップ機能付4速に変更されました。
続いて1986年9月、4WDが「リアルタイム4WD」と呼ばれるビスカスカップリング式オンデマンド4WDシステムを採用した「RT-J」に切り替えらると同時に、同車をベースとした特別仕様車「リアルタイム4WD特別仕様車」が設定されました。そして1987年10月にフルモデルチェンジが実施され、2代目モデルに移行しました。